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一話 ページ2

雨の降る日。






雲が重く、垂れ込んでいる。





鉛色の空は、ゴロゴロと音を立てて、大粒の雨を降らせる。





私の気持ちは沈んでいた。
だって、何もいいことが一つもない。






私は柱だ。
政府非公認の鬼殺隊という所で働いている。





別に、その仕事に文句があるわけではない。





ただ、何かとうるさい貴方が嫌いなのだ。






人の事ばかり気にして、自分は何もない。
ただ、そういう貴方が、大嫌いなのだ。







貴方は私の横でお萩を食べている。
黙々と、食べ続ける。








貴方も同じ柱で、少し気性が荒い。






もっと穏やかにすればいいのに、とか思う。






まぁ、嫌いな人に興味はないかな。






まだまだ止みそうにない雨を眺めて、私は雨の中、立った。





やはり、この季節の雨は冷たい。


雨に打たれると、心が洗われていくよう。


気持ちがいい。







私にとって、だけどね。







チクタクと規則正しい速さで動いている時計を見た。




分厚い雨雲のせいで分からなかったが、もうすぐ夜らしい。





『風柱さん。そろそろ行きますよ?』





貴方を呼んだ。





「おう。」





貴方はそっけ無い返事をして、私を置いてスタスタと歩いていってしまった。




私が後で、虚しく追うことを知らないでね。




追っていった先に、広い草原が広がる。







そこに、一筋の道が出来ていた。



きっと、貴方が踏んだ跡よね。





その道を一歩、一歩と歩き、貴方の背中を見つめた。






「気ィ、引き締めとけよ。」






『誰にものを言っているんですか?』






少し睨んだ後、私は刀を抜いた。
淡い青色の刀が雨に濡れてキラリと光る。


貴方の刀はこの草原のように緑だ。






「へっ、そこでおとなしく見とけェ。」






そう言った貴方は、私を置いて今現れたばかりの鬼の頸を斬ってしまった。


目が点になってしまった私は、刀を戻した。





はぁ、もう少し私にも出番をくださいよ。





だから嫌いなんです。
何でも一人でやろうとする貴方が。





『やはり私、貴方が嫌いです。』







「俺も嫌いだァ。」








『それはよかったです。』








内心嬉しくはなかった。
当たり前だ。
面と向かって嫌いと言うのと、嫌いだと言われるのは嬉しいことではない。






まぁ、誰でもそうだろう。







「帰るぞォ。」








『は、はい。』









なぜか嫌いな私に帰るぞ宣言をして歩いていった。

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作者名:しば犬 | 作成日時:2021年2月20日 12時

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