弐【弟視点】 ページ3
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「「わぁあああああ!!!」」
ショーケースやテーブルにこれでもかと置かれたスイーツに乱と五虎退が目を輝かせる。
約束通りオープン前日のケーキバイキング店《Sugar House》にやって来た俺たちはオープン前日のケーキ食べ放題を満喫中だ。
「見てみて若、苺のスイーツでも20種類以上もあるよー!!」
「このチョコレートムース、虎くんの形してます!」
あれもこれもと皿に乗せて行く2人を見て一期兄さんと一緒に苦笑する。
「あれ、全部食べきるつもりなのか……?」
「まぁまぁ、せっかくの記念ですから」
「一期兄さんは弟に甘いなー」
「若もでしょう」
「まぁ、そうか」
なんて会話してたら、遠くから「ひゃー!!」という五虎退の悲鳴が聞こえた。おい、何があった一体
「ハメ外してやらかしやか?!」
慌てて向かえば、五虎退ともう一人、カチューシャを身につけた少女が床に座り込んでいる。その隣でおそらく2人が持っていたであろうケーキ皿を乱ともう一人、眼鏡をかけた少年が持っている。
「ご、ごめんなさいです…!!大丈夫ですか…?!」
「いたた、うん、大丈夫」
「ったく、欲張って走るからだろ……ごめんなさい、お姉さん」
「ううん、こっちも前見てなかったからおあいこだよ。君たちも平気?」
「乱、五虎退!」
「「伊月お兄ちゃん!!」」
名を呼べば2人が振り返る。それと一緒に側にいた眼鏡の子とカチューシャの子も振り返った。
ぶつかったであろう少女に頭を下げる。
「俺の妹と弟がすみませんでした」
「歩美も悪いの!お姉さん達は悪くないんだよ!!」
歩美ちゃんというのだろうか、少女は首を振って気にしないでと言う。その後ろからパタパタと複数の足音が聞こえた。
歩美ちゃん達の保護者だろう、ねーちゃんと同じ年の女の人が駆け寄る。
「コナン君、歩美ちゃん大丈夫?」
「蘭ねーちゃん。僕も歩美ちゃんも大丈夫だよ。それに歩美ちゃんのケーキ、このお姉さんがキャッチしてくれたから」
「そういう君も五虎退のケーキキャッチしてくれたよね、どうもありがとう」
「どういたしまして、はい交換だね!」
キャッキャと子供達ではしゃいでいる中、俺と一期兄さんは歩美ちゃん達の保護者さん。蘭ねーちゃんって呼ばれてた蘭さんに事情を説明した。
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作者名:千夜一夜月 | 作成日時:2017年5月16日 19時