雅な声に誘われて

〜第08歩〜雅の追憶編(2) ページ9

雅はその日も家から出て、いつもの大木で一休みをしていた。

そこに、この世の人とは思えないほど異国風の格好をした男性が現れた。

「誰ですか？」

「やぁ…初めまして、清宗くん。」

…そこで、自分の名前を清宗だと思い出すと同時に、不思議に思った。

「どうして僕の名前を知っているのですか？」

「知っているさ。毎日のように来てくれるんだから。」

「え…？」

雅にとって毎日行くのはこの大木の根元しかないのだ。

しかし、そこには今日まで人、一人っ子いなかった。

でも、この人は『毎日のように来てくれる』と、言っていた…。

「僕が毎日のように行くことを知っているのはどうして？」

「質問が多いね。俺はこの中に住んでいる。」

そう言って、男性は大木の幹に触れる。

当時の雅には理解不能だったが、今ならわかる。

彼は、彼こそが神様だったのだ。

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