雅な声に誘われて

〜第18歩〜 ページ20

総合運動公園の市民グラウンドに着くと、雅くんは周りをきょろきょろしはじめた。

「どうしたの？この時間は人は少ないと思うよ？」

「そうですよね…。では…。」

中央に立つと目を閉じた。

すると、雅くんを隠すように風が起きた。

その風はたちまち竜巻となり、そこに佇んだ。

「み…雅くん‼」

私の叫び声が聞こえたのか、竜巻は消え、無傷で雅くんが立っていた。

「初めての時は小さな風の渦でした。無意識のうちに使っていました。それが、使えると分かった時…すべての記憶が蘇りました。」

「今…のが、最大ではないみたいですけど…どないですん？」

「雅くん…。」

雅くんがとても悲しそうに笑いながら

「この神は…はるか昔、人々をこの力で殺めた事が一度だけあるようです。水の神と協力して行われました。…ノアの方舟というあの話と似たような事がこの国でもあったんですよ。」

と、告げた。

「僕は人を殺めれるようにもなってしまったんだ。」

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