雅な声に誘われて

〜第16歩〜 ページ18

「力を貸すって…どないすればええんか…。」

「僕は服を持ってません。」

雅くんは、きっぱりと、けれど確かめるように言った。

その言葉に巫羅さんが気が付き、私を見る。

「弟さんの服でサイズは合うと思いますが、きっと新しく買う方がいいですよね。」

「…あては成人してるから買うて来いって遠回しに言わはってる？」

そして、

「もちろんですよ‼」

と雅くんと私は声がハモった。

クスクスと雅くんの方から聞こえて来た。

気が付いてふと雅くんを見てみると、そこには今時の少年のような笑顔があった。

(あ…こうやってやって笑うんだ…。やっと、笑ってくれた)

そう思っていたら…雅くんは私をじっと見ていた。

「ど…どうしたの？」

「あなたは…そうやって微笑むのですね…。とても、優しく笑っていましたよ。」

春の訪れと言わんばかりに花が咲くように笑う少年が
世界を救う鍵になるだなんて今は思ってもみなかった。

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