雅な声に誘われて

〜第13歩〜雅の追憶編(7) ページ15

そうして、目を覚ました雅はいつものように大木にもたれてうたた寝をしようとした。

そして、ある事に気がついた。

雅がよく知っている『大木の周りの風景』が大きく異なっていたのだ。

「社が出来てる…。どうして…。」

雅の頭の中は混乱の渦に飲まれていた。

それから数日後に宮姫に助けられこの世の真実を知った。

千年後の世界は雅には明るかった。

なにせ、彼は平安を生きた男の子なのだから。

「服も異なりますし、話し方や人を敬う態度…それ以外もたくさん変わってしまいました。ですが、僕はこの世界を生きてゆきます。」

すっと笑うように細められた瞳は絶望ではなく希望に満ち溢れていた。

そして、宮姫はとある事に気がつく。

「話し方…どこでまなんだの？」

イメージ的には平安だから和歌で会話しているイメージがあった。

「何日間か使って、社に訪れる方々の話し方で独学で学びました。」

何という末恐ろしい少年だろう。

さぞ、頭が良いのでしょう。

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