雅な声に誘われて

〜第12歩〜雅の追憶編(6) ページ13

意識が戻っても、雅は暗がりの中に『いた』。

その暗がりには雅ともう一人の青年がいた。

「やぁ…雅。」

「僕の名前は…あれ…？」

雅は"清宗"という名を忘れてしまった…というよりは、思い出すことができずにいた。

「君の名前は雅だよ。俺様の名前は志那都比古神だ。」

そこで、ふと思い出す。志那都比古神は風の神で名を"雅"ということを。

「…あなたが雅なのでは？」

「今、俺様がここにいるのは君にすべてを渡すためにいるのさ。」

「すべて…」

雅にはイヤな予感がした。

もし、本当に目の前にいる青年が風を司る神であるならば…、すべてを渡すということはストレートに言えば「神になれ」と言っているようなものだ。

「僕はあなたにはなれませんよ…」

「俺様にならなくていい。力を適応させればいい。」

そうして、二つ返事で"清宗"は"雅"になった。

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