雅な声に誘われて

〜第11歩〜雅の追憶編(5) ページ12

「志那都比古神？それは何を司る神様なんですか？」

「風を司る神様だよ。今は眠りについているんだ。」

神様が眠りにつく？

遥か遠い国では悪魔と呼ばれる神様が長い眠りにつき、命を永らえるとは聞いたが…

(もしかしてそれなのでは？)と、考えていると

「しかし、次に雅の名を貰う人は神様になってしまうのだろうね。」

ビックリして、男性を見る。

それは一体、どういうことなのかと視線で問いかける。

「志那都比古神の代わりをもうすでに100年もしているんだ…。」

「100年？！人として既に生きれてないではないですか！！」

そんなことを言っていると、男性の体が煙のように薄くなっていく。

「俺は死んでいる。だから、こうやって姿を実体化させるので精一杯で…本当の事をいうと…次に変わりになるのは君なんだ…清宗。」

「僕が…神様の代理人にですか？」

それを告げられた瞬間、当時清宗だった雅の意識は薄れていった。

最後に聞こえたのは…

『君の名前は雅だ。俺が清宗という名を貰う』

それだけが耳の奥で小さく、しかし、確かに響いていた。

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