【HQ!】バレー部とのエンカウント率が高い系女子の日常【稲荷崎】

日常 ページ47

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その日、稲荷崎高校に電撃が走った



「ねぇ聞いた？！弓道部の水島さん、部活辞めたらしいよ？！」
「マジで？！全国常連の人じゃん！なんでだよ？！」
「アレじゃね？やりすぎて相手がいなくなってつまんなくなったんだろ。天才は辛いよなぁ」



弓道部のエース、中学時代から全ての全国大会で優勝を飾ってきた水島露草が、弓道部を電撃退部したのである。



そんな彼女の退部理由は様々な憶測が飛び交ったが、そんな彼女が次に選んだ部活を知ると、大抵の人は納得した






あぁ、ハマってしまったのだな、と










＿＿＿＿＿＿＿放課後。体育館にて。




「集合」




男子バレーボール部主将北信介が、放課後の部活が始まる前に部員全員を集めた。


強豪バレー部だけあって人数も多く、二軍三軍も作れるほどだ。



全員が嫌いに並び、監督やコーチも定位置に着いたところで、北主将が声を上げた。




「今日から、マネージャーが入部することになった。」



その言葉に、部員の大部分が色めき立つ。


インターハイ予選真近、そして今巻き起こっている校内の噂を加味すると、誰もが期待を持たずにはいられない




「これからは、スクイズやゼッケンの準備はせんくってええ。せやけど、何分この量を一人でやるのは辛いやろうから、お前らも手伝ったること。えぇな。」


「「「ウス！！！！」」」


「よし」




北主将の言葉に、訓練された兵士並の声の張りと揃い具合で返事をする部員達。



そんな部員達に北主将は満足気に頷く




「そんじゃ、紹介するで。」




そして、満を持して新しいマネージャーが呼ばれる。


体育館の扉の外から入ってくるのは、紛れもなく噂の渦中の人物ではあるが、その装いに多くの者は涙腺を緩ませた。



稲荷崎高校バレー部のワインレッドに太黒のラインが入った選手ジャージではなく、ベンチに座る為監督やコーチ達に揃えた、白地に太黒のラインが入ったジャージを身にまとい


首にはタイマーやホイッスル、手にはノートとボールペンが挟まれたバインダーを手にしている


髪型は変わらず高く括ったポニーテール




『今日から、男子バレーボール部のマネージャーを務めさせていただきます、２年３組水島露草です。

いつもレベル上げを頑張ってはる皆さんを支えられるよう、精一杯努めますので、どうぞよろしゅうお願い致します！』




バレー部との遭遇率が一時期高かっただけなのに、ここまでのめり込むなんて思いもしなかっただろう


けれど後悔はない。



エンカウント率高い系女子の日常は、これからが本番だ。

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