第二十二話 ページ23
side角名
さっきまで自分の隣にいた人が、今正にボールを投げようとしているところを、俺は黙って見つめていた
さっきの日本史の授業で自己紹介をし合って、移動教室まで一緒に行けることになって、今俺は有頂天を突破している
____俺だって、彼女が好きだ
そして断言出来る。この学校内で、彼女を1番に好きになったのは俺で、想っている時間も俺が1番長い
何を隠そう、俺達は中学3年の学校見学の時から、ずっと席が隣なのである
初めて会ったのもそこで、そこで俺は、人生初の一目惚れをした
体育館での説明の時、隣のパイプ椅子に座る、凄く綺麗な子
下ろした黒髪はまっすぐ整えられて、伏し目がちに手元のパンフを覗くその目は静かで、体の芯の奥底から鳥肌が立ちそうなほど綺麗だった
そして、学校見学の後のアンケート用紙で、俺は彼女の名前を知った
習字を習っていたのだろうか。柔らかい筆圧と書体の綺麗すぎる字で書かれた彼女の名前を、当時の俺は今でもはっきり覚えている
水島露草。絶対忘れないだろうけど、初めて俺は人の名前を忘れないようにメモをした。彼女の字に比べたら綺麗だなんてお世辞にも言えない字で、彼女がアンケートに答えているうちに、なんとか書き終えた
結局その日は彼女とはなんともなかった。けれど、名前は知れた。今は、それで良かった
そして迎えた受験当日。奇跡が起こった
俺と彼女は、またも隣の席だった
見学会の時のパイプ椅子よりかは距離があるけど、また彼女に会えたことは何よりも嬉しかった
良かった。彼女もこの学校に進学するんだ。あ、でも、滑り止めとかかもしれない。けどまた会えてよかった、なんてことをずっと考えていた
一応バレーの推薦は貰っていたが、推薦が無かったら俺は落ちていたかもしれない。嬉しすぎてほぼ隣の席にしか意識が向かなかった。何度も解いた問題を、脳と手が覚えているままに動かした。合格後に希望者だけが知れる点数は、怖くて見れなかった
そして迎えた入学式。残念ながら俺と彼女は別のクラスだった。けれど、入学式の時の席は、組ごとの境を挟んで隣だった
その後の移動教室も、席が隣だった
俺と彼女は、ことある事に席が隣だった
けれど、彼女はそんな俺に全然気付いていなかった
俺でさえこれなのに、侑が認知とかされるわけがない、そう思っていたのに、2年に上がってすぐに侑と彼女が一緒に歩いているところを見た
羨ましい、俺だって、彼女と話したい
だから、もう気づいて貰えるのを待つのはやめにした
角名side[完]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - 葵坂さん» こちらこそ読み漏れがあったみたいです。この作品好きで読んでいたからこそ気になってしまい勢いあまってコメントしてしまいました。読み続けようか迷っていましたが、作者様のコメント、またこの作品が好きなので読み続けようと思います。応援しています (2023年3月12日 0時) (
レス) id: 843a0c5854 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ゆずさん» 最初に書いてある通りです。おそらく、三十二話の辺りでご不快に思われたことでしょう。大変申し訳ございませんでした。この教訓をこれからも活かして作品を作って参りますが、もしお怒りが鎮まらないようであれば、どうかこんな作者のことなどお捨ておきくださいませ。 (2023年3月12日 0時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
ゐづき(プロフ) - 毎回楽しく読ませてもらってます！愛知の方の方言あまり知らなかったんですが香川県でも同じような使い方されてる方言があってびっくりしました！！更新楽しみに待ってます！お体に気をつけて頑張ってください🙇♀️ (2023年3月12日 0時) (レス) @page41 id: 5e32b68666 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 弓道やっていらっしゃる方ですか？ (2023年3月11日 23時) (レス) id: 843a0c5854 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコマーク！ - 此れって愛され作品ですか？だとしたら凄い嬉しいです！ (2022年9月7日 16時) (レス) @page27 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
