【HQ!】バレー部とのエンカウント率が高い系女子の日常【稲荷崎】

第一話 ページ2

始まりは、学年が1つ上がって、高校2年生になった直前のことだった


「おねがいっ！今度の球技大会、バレーのチームに入って！！」


『………ばれー……？』


うちの高校は、新学期が始まって直ぐに球技大会がある


去年の私はバドミントン個人で挑み、同年代にギリギリで勝って、先輩に手を抜いて負け、記録表の片隅に残るぐらいの、平凡な高校1年生らしい結果を残した


今年はテニスかな。個人で取れるかな。どれくらいで負けようかな。なんて、対戦相手に失礼すぎる思考で挑もうとしていた矢先の、クラスの一軍女子。所謂女バレの面々しかいないバレーのメンバーに勧誘されたのだ


私以外のメンバーは全員バレーボール部で、短く切りそろえられた健康的かつ爽やかなイケメンオーラが眩しい


我が稲荷崎高校のバレー部は、男女ともに強豪で、男子は全国常連、女子は県ベスト4。
つまり県内外からその道のプロ達が集まる、所謂『球技大会で簡単に立候補できない部活Ｎｏ．１』である


女バレ男バレの面々がチームに入ることは決定事項。異論なんて言おう物なら眼だけで殺される。


そんなガチ勢達が、クラスのボッチ女子を勧誘している


正直言うと、バレーとバスケは1番回避したいスポーツであった
弓道をやっている者としては、ボールによる突き指は何としても避けたい
近々夏の全国の予選だってあるし、変にボール慣れして部活に支障をきたしたくない


「水島さん女子の中じゃスポーツ万能だし背ぇ高いし、絶対楽しくできると思う！後悔させないから！だからお願いしますっ！！」


『……………え、ちょっと待ってぇや。なんで頭下げるん。そこまでせんくってもええのに』



昼休みということで廊下を歩く人も教室に出入りする人も多いこの時間帯に、大声でお願いされて、しかも深く頭下げられたら、沢山の人がそれに気付いてガン見するわけで、私達は格好の的だった



『…………ええよ。やるわ。やるから頭上げや。背中丸まってまうで。折角いい姿勢しとんのに、猫背になったらみんな残念がってしまうよ』


「…………！！え、あ、ありがと！！……ん？え、引き受けてくれたん？！OKなん？バレーやってくれるん？？」


『おん。けど私、初心者やで』


「全然大丈夫！！ほんっまにありがと！！」


この好機の目から逃れたくて、いつの間にか私はOKしてしまった


…………アカン。これ、顧問の先生にド叱られるやつや

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