検索窓
今日:24 hit、昨日:26 hit、合計:156,322 hit

24.頂点への一歩 ページ28

会場をひたすらに湧かせた井闥山高校の3分間の公式練習。



大熱狂が収まらぬままに終わり、相手方の公式練習が始まった。



その間は、俺たちは監督の周りに集まった。




「シアス!!」

「「「シアーース!!」」」





監督やコーチからのお言葉を貰う際は、まず最初に頭を下げるのがジャパニーズスタイルだ。





「では、毎回同じことを言うけれど、今回は1年生2人もいるので念入りに。」





不知火先生は、いつもの穏やかな笑顔で口を開く。





「我々は頂点を目指すもの。今年の夏も優勝候補筆頭の座を賜ったわけですが」

「たまわった?」

「貰ったを超丁寧に言った言葉。」

「へぇ…」





隣の賢章がこっそり教えてくれる。





「たったそれだけです。そのような代名詞を与えられているだけで、我々にはなんの権限もありません。

誰かを『弱い』と定義付ける権限も、勝利が確定されているわけでも、勝たなければならないという義務もない。


まず、それらを君たちは自覚しなければなりません。


一人の人間としてのマナーと、スポーツマンとしてのモラルとフレンドリーシップを大切にしてください。」





隣の賢章が目を輝かせている。

賢章が好きな言葉のオンパレードだ。



そうだ。俺たちは最強に近い場所にいる。


だからといって、他のチームを『弱い』と卑下したり、誰かの技術に口を挟む権利もない。





「頂点を目指すのであれば、常にスポーツマンシップを大切にしなければなりません。君たちは最強の挑戦者であり、過去には王者であったかもしれませんが、だからこそ常に相手を尊重するプレーと行動を心掛けてください。

これから我々は沢山のチームと戦い、そして勝利するでしょう。しかし我々の歩む道は、常に誰かの涙と悔恨の上にできていることを忘れないでください。だからこそ、一切の遠慮も同情も侮蔑も挟んではいけません。それらは、多くの人々を蔑ろにする行為であり、そして我々が積み上げてきた『努力』や『準備』を無駄にします。」





相変わらず、不知火先生の話は俺にとってはよく分からない言葉が多い。


けれど、今は少しはわかる。





「『王者』は決して、何をしていい訳では無い。
『王者』になりたいのならば、それにふさわしいスポーツマンシップを持つこと。つまりはこういうことです。

一織くん、理解はできましたか?」

「っ、はい!」





その瞬間、ホイッスルがなった。


いよいよ、始めの一歩が踏み出されようとしていた。





「さぁ、我々のヴィクトリーロードが始まります。

どんな相手であれ、僕ら全員で相手を倒しに行きましょう。」

「「「はい!!」」」

25.勝利一つ目→←23.影響



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (134 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
458人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 男主 , 愛され
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ポンコツ(プロフ) - 好きなお話です!これからも更新楽しみにしてます(*ノ´∀`*)ノ (5月26日 13時) (レス) @page43 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
ポスバス(プロフ) - うわ!パスワードかかっていたときから待ってました、、、!!応援してます!!! (2023年4月24日 21時) (レス) id: d26458d622 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葵坂 | 作者ホームページ:ないっす  
作成日時:2023年4月17日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。