20.名残惜しい ページ20
「それじゃあ、私少し席外すけどくれぐれも変なことに使わないでね。特に昼神くん!」
「やりませんよそんなこと。」
その言葉が、なんかちょっと残念に思った。
「……じゃあ、着替えてくる。」
「うん。ちゃんと見張っておくね。」
あの後昼食を食べ終わった頃に幸郎は2組まで迎えに来てくれて、そのまま保健室に一緒に行った。
迎えてくれた養護教諭の先生はご丁寧に制服にアイロンまでかけてくれて、いつも以上にパリッとした制服が待っていた。
しかし先生はこれから出張との事で、制服と保健室の鍵を私たちに預けると、足早に去って行ってしまった。
あんな台詞を吐きながら。
私はカーテンを捲って中に入り、Tシャツとズボンを脱いで制服に着替え始める。
変なこと。
その詳細は人によって様々だけど、間違いなくアッチの方のことであるのはわかる。私だってわかる。
私も、多分、いつかはそういうことを幸郎とかするかもしれないわけで。けれど今は気が乗らないだけで嫌という訳では無い。だから幸郎も弁えてくれると有難いのはわかっているのに。
こうも面と向かって宣言されるとちょっとショック。
幸郎はスキンシップはあるけれど、手を出すというほどのものでは無い。さっきのハグの話もそう。
葵ちゃんが言うように、幸郎は私のこと、過度なスキンシップを嫌う人だと思われているのだろうか。
そうだとしたら早々に誤解を解きたい。
もちろんまだ大人なことは出来ないけど、あわよくば私ももっと幸郎の温もりを感じていたい……なんて。
既に制服には着替え終わっているけれど、そうしたらTシャツを返さなくてはならない。
……まだこの匂いに包まれていたい。
そう考えた私の身体は、無意識にTシャツを抱きしめて匂いを嗅いでしまう。
……すごい絵面で、すごい変態なことをしているのはわかっているけれど、名残惜しくて仕方ない。
「A?大丈夫?」
「……あ、うん。あともうちょっと。スカートのチャックが引っかかっちゃって。」
「あー、よくあるらしいねそれ。一人でやれそう?」
「うん。大丈夫。」
もちろん、スカートのチャックは引っかかっていない。
まだこれを手離したくないがための時間稼ぎ。
それから3分くらい経った。
「………ねぇA、ほんとに大丈夫?」
「ご、ごめん。今度はふとした拍子に……えっと」
流石に待ちくたびれたのか、幸郎が心配そうな声で聞いてくる。
私はもう言い訳が思いつかなくて吃ってしまい、不自然に言い淀んでしまった。
けれど、もうタイムリミット。
私は諦めてカーテンを出た。
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葵坂(プロフ) - みるくてぃーさん» もうねー!!私が書くと本来かっこいいキャラが女々しくなるんですよね!それが私の性癖なので!!劇場版はなんか伸びちゃいましたよね!!ちくしょう!!!!!!気長に私の小説でも読んで昼活してください! (6月28日 10時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - 初コメ失礼します。え、昼神君可愛っ!!!劇場版めためた楽しみなんだが。更新応援してます!(?) (6月1日 16時) (レス) @page44 id: 461adb2062 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» これはこれはこちらでもありがとうございます!こんな駄作で良ければいつでもご覧くださいませ!なんですかねぇ、作者芽生男書くとなんかたまに女々しくなっちゃうんですよね笑キャラ崩壊しない程度にもちろん作者の解釈の中で、これからも最新して参ります! (5月4日 20時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
FLOWER(プロフ) - 前作から応援しております、FLOWERです。最近勉強などで忙しい中これを読ませていただいてます。話は変わりますが、昼活のセンス良すぎませんか?昼神も可愛くて、甘酸っぺえさが増しましたね…これからも更新応援してます!互いに昼活しましょう笑笑 (5月4日 19時) (レス) @page38 id: 87ff2022c1 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - 眠いちゃんさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!どぞどぞ!いくらでも話して行ってくださいねー! (2023年4月30日 10時) (レス) @page31 id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
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