19.任務完了(嘘) ページ19
引き続き顔色を伺う私。
しかしそんな私の何が気に触ったのか、幸郎を目を手で覆って天井を仰いだ。
「さ、さちろう………?」
「いや、なんでもない…………」
絶対嘘だ。
その証拠に、口ではそう言うものの未だに私と目を合わせようとしない。
流石に騙されないぞ。
けれどあんまりここで問い詰めるのもいけない。なにせここは他クラスの教室の中。
さっきから目線も痛いし、早くどうすればいいか聞いて帰ろう。
「そ、それで?これどうすればいい?」
「…あ〜、そうだね。じゃあそのまま脱いで返して貰えればいいよ。」
「放課後使うの?なら洗って午後の授業中に干しておいた方が」
「大丈夫。2時間で乾くものでもないし。」
「え、そうなの?じゃあ洗ったら駄目だね。
……でも1回私着たヤツだよ?汗とか色々着いちゃってるかも。汚いよ。」
「いや、Aが汚いとか思わないから。」
そう言う幸郎の頬には、ほんのりと赤みがさしていた。
それも気になるけれど、放たれた言葉が問題だ。
私が汚い汚くないとかそういう理屈ではない。
捉える人によっては幸郎の発言はかなりアウトギリギリだということを、奴は知らないのだろうか。
「……じゃあ、ちゃんと消臭スプレーとかやっておいてね。」
「はいはい。」
私の念押しに幸郎は笑いながら返事をするだけでどうも誠意が感じられない。
けれど何はともあれ、私の任務は終わった。
……いや、あれは押し付けられただけで私はやるって言ってないからノーカンなのだ。やるとしてもこんなところで出来るわけない。
「……それじゃ幸郎。後で返しに来るね。お弁当の時間取ってごめん。またあとで。」
「あ、Aちょっと待って。」
教室を出ようとしたところで、幸郎にやんわりと肩を掴まれてその場に留められる。
優しい手の温もりが肩からじんわりと広がり、私の心臓は少し高鳴るのがわかる。私は少女漫画のヒロインか。
「Aはまだご飯食べてない?」
「?うん。そうだけど。」
「じゃあ、先に食べて一緒に保健室行こう。その場で服も返せるから、またここに来る手間が省けて楽でしょ?」
「え、悪いよそんなの。幸郎の昼休みが潰れちゃう。」
「何を今更。俺、いつも食べ終わったらAのところ行ってたでしょ。それと何も変わらないよ。」
「……ぁ」
確かに、それもそうか。
私も、昼休みに幸郎と会えないのはちょっと寂しい。
「……じゃあ、お願い。」
「うん。じゃあ、後でそっち迎えに行くね。」
そんな私たちを、鋭い視線で射抜く影がひとつ。
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葵坂(プロフ) - みるくてぃーさん» もうねー!!私が書くと本来かっこいいキャラが女々しくなるんですよね!それが私の性癖なので!!劇場版はなんか伸びちゃいましたよね!!ちくしょう!!!!!!気長に私の小説でも読んで昼活してください! (6月28日 10時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - 初コメ失礼します。え、昼神君可愛っ!!!劇場版めためた楽しみなんだが。更新応援してます!(?) (6月1日 16時) (レス) @page44 id: 461adb2062 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» これはこれはこちらでもありがとうございます!こんな駄作で良ければいつでもご覧くださいませ!なんですかねぇ、作者芽生男書くとなんかたまに女々しくなっちゃうんですよね笑キャラ崩壊しない程度にもちろん作者の解釈の中で、これからも最新して参ります! (5月4日 20時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
FLOWER(プロフ) - 前作から応援しております、FLOWERです。最近勉強などで忙しい中これを読ませていただいてます。話は変わりますが、昼活のセンス良すぎませんか?昼神も可愛くて、甘酸っぺえさが増しましたね…これからも更新応援してます!互いに昼活しましょう笑笑 (5月4日 19時) (レス) @page38 id: 87ff2022c1 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - 眠いちゃんさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!どぞどぞ!いくらでも話して行ってくださいねー! (2023年4月30日 10時) (レス) @page31 id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
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