1.あまい ページ1
「………あ"っ。」
「どうしたの?」
「自販機のラインナップが総入れ替えされてる。」
時は夏休みが開けてすぐの授業日。
もうすぐ9月になるというのに、まだまだ暑い時期は続いている。
そんな最中、私がわざわざ外にある自動販売機にやって来たのは、夏休みの期間は飲めなかったカフェオレを購入するためだ。
前までカフェオレが飲めなかった私にとっては、それを変えてくれた愛すべきメーカーの紙パックのカフェオレ。
割とワクワクしながらやって来たというのに、そんな私を待っていたのは、商品のラインナップが総入れ替えされ、全く見慣れなくなっていた自動販売機だった。
「せ、せめてひとこと言って?!」
「あ、ほんとだ。ぜんぶ違うね。」
「ホットカフェオレすら無いの?!」
「紙パックの自販機にホットってあんまないでしょ。」
「なにそれ落ち込む…………」
「よしよしA、こっちおいで。」
意気消沈の私の頭を、よしよしと撫でて慰めてくれているのが、同じ1年の昼神幸郎。たった数日前に付き合い始めた私の彼氏。
馴れ初めについてはご存じだと思うので端折ろう。
「私はこれから何を飲んで生きていけば。」
「カフェオレ1つで生き甲斐見失わないでよ。」
「じゃあ幸郎は私が居なくなったら生きていけるの?」
「勿論生きていけないけど、例え話が釣り合って無さすぎ。人と物を一緒にしないでって前から言ってるでしょ。」
「しゅみましぇん」
彼の逆鱗に触れた私は、ほっぺたを片手でぶしゅっとされてしまった。
変な声での謝罪となり、先程の罰だと言わんばかりにケラケラと笑われた。そんなに怒ってないじゃん。
早々に奴の手から逃れ、カフェオレの代わりに見た目が似ていたココアを購入した。
「……………あ"っま"」
「そんなに?」
「カフェオレに慣れちゃったからかも。」
「あぁ、それはあるよね。」
幸郎はそう言いながら、同じ自販機から何かを購入し、ストローをさして飲み始める。
彼が買ったのは普通のコーヒーで、もちろんパックのやつ。
私もそっちにすればよかった。
「………ひとくち飲んでみる?」
「え?あぁ、いいよ。もう口つけちゃったでしょ?」
「俺たちもうそういうの関係ないでしょ。」
「あっ………」
そうだ、付き合ってるんだ、私たち。
幸郎は遠慮なく、ストローの刺さったコーヒーパックを私に差し出してくる。
私は観念して、ストローに口をつけてコーヒーを飲ん一口口に含んだ。
………うん。苦い。苦いけども。
「……あまい……」
「え、味覚大丈夫?」
「るさい……」
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葵坂(プロフ) - みるくてぃーさん» もうねー!!私が書くと本来かっこいいキャラが女々しくなるんですよね!それが私の性癖なので!!劇場版はなんか伸びちゃいましたよね!!ちくしょう!!!!!!気長に私の小説でも読んで昼活してください! (6月28日 10時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - 初コメ失礼します。え、昼神君可愛っ!!!劇場版めためた楽しみなんだが。更新応援してます!(?) (6月1日 16時) (レス) @page44 id: 461adb2062 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» これはこれはこちらでもありがとうございます!こんな駄作で良ければいつでもご覧くださいませ!なんですかねぇ、作者芽生男書くとなんかたまに女々しくなっちゃうんですよね笑キャラ崩壊しない程度にもちろん作者の解釈の中で、これからも最新して参ります! (5月4日 20時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
FLOWER(プロフ) - 前作から応援しております、FLOWERです。最近勉強などで忙しい中これを読ませていただいてます。話は変わりますが、昼活のセンス良すぎませんか?昼神も可愛くて、甘酸っぺえさが増しましたね…これからも更新応援してます!互いに昼活しましょう笑笑 (5月4日 19時) (レス) @page38 id: 87ff2022c1 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - 眠いちゃんさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!どぞどぞ!いくらでも話して行ってくださいねー! (2023年4月30日 10時) (レス) @page31 id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
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