7.調子狂う ページ7
もういい、私はここにもう用はない。
カフェオレは買ったし、こいつを待っている理由もない。
「それじゃ」
「あ、待って!」
けれど呼び止められる。
一瞬嫌な顔をしかけたが、なんとか無表情を保って立ち止まった。
「なに?」
「一緒に行こうよ。同じ1年生なんだから、行くエリアは同じでしょ。」
「…………」
ぶっちゃけ嫌だ。
話すこともないし、行きたくもない。
しかし私はこいつを傷つけたいわけじゃない。
カフェオレだってそうだ。私は存在が許せないくらい嫌いだけど、だからといってそれが罪になるわけじゃない。
私一人が嫌いだと言うだけで、言われのない攻撃を受ける必要は無い。
唸れ、私の表情筋。
「ごめん。私、この後図書館に寄りたくて、教室には戻らないんだ。だから一緒には((」
「図書館?へぇ、本読むんだ。俺も好きだよ。どんなジャンル読むの?」
「え、あ、っと、ミステリーとか、ノンフィクションとか、短編小説とか、かな。」
「ふっは、Aちゃんっぽいね。好きな作家さんとかいるの?」
「えっと……………はっ!」
答えそうになったところで、私は正気を取り戻した。
いやなに流されてるんだ私。
あと、私の言葉途中で遮るんじゃねぇ。
てか、勝手に名前で呼ぶんじゃねぇ。
教えたの誰だよ。絶対犯人は星海だろうけど。
そんな私を、あいつはクエスチョンマークが頭に浮かんでいるが如く、人畜無害そうな顔でこちらを見ている。
やはり、こいつは見た目が良い。
そんな顔を見せられたら、私が心の中でついていた悪態の殆どが言葉にならずに消えていってしまう。
「っ、ごめん。もう行くから。」
ほぐれて行く自分の心を無視するように、目を背けて歩き出した。
けれど、手を掴まれて引き止められる。
「図書館でしょ?俺も行く。そこで色々話聞かせてよ。」
「え?な、なんの。」
「Aちゃんのことに決まってるじゃん。」
「はぁ」
いやもう、ほんとやめて。
これ以上関わったらボロが出る。
ていうか、なんでこの人はこんなにグイグイ来るんだ。
私たち初対面昨日だよね?そこまで関わってもないのに、なんならちゃんと話したのは今日が初めてだと言うのに。
けれど、私はこいつとは違う。
例えこいつがどんなに鬱陶しくても、こいつみたいに相手を傷つけたりせず、やんわり断ってみせる。
そんな覚悟のもと、私がどんな風に言葉を返すか悩んでいると、カフェオレ野郎はニカッと笑った。
「やっぱり、Aちゃん俺のこと苦手でしょ。」
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早苗くん - 36話めっちゃすきです。「海を渡る鴎に相応しい、海の男の音が響き渡る。」のところカッコよすぎです。 (6月10日 12時) (レス) @page36 id: 5215e79380 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - あぽ様です。さん» ですよね!わかってるんですよ「現実的じゃないなぁ」「ちょっとキャラ崩壊かなぁ」とは!しかし!私の解釈で書いてまいりますので!応援してくださる方はそのままで、ダメな方はゆっくり回れ右をして頂く!これが葵坂流でございます!コメントありがとうございました! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ぺpopo。さん» ありがとうございます!!え、後味スッキリでした?!そう思っていただけたなら作者冥利に着きます!!夢主の性格は、作者どうしてもThe.女の子っていう子が書けない中でどうやって恋愛小説っぽい子を書くか思案した結果あぁなりました!これからもよろしく願いします! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» たくさんのコメントありがとうございまする!やはりあそこですか!!作者も結構頑張ってキュンを追求したのですけど、やっぱり展開が早すぎたかなぁと反省しておりました。そんなところにFLOWER様のコメントを頂きまして、大変心がほっとしております!次も乞うご期待! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
あぽ様です。 - 告白現場に居合わせる、ひどい振り方とか夢あるあるだね (2023年5月3日 0時) (レス) @page3 id: a540b2ed94 (このIDを非表示/違反報告)
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