４３．君にだけ ページ43
「気に入ってくれた？」
「………うん。」
ハーバリウム体験が終わり、私たちはお店を出る。
そして休憩がてら近くのベンチに座ると、私は嬉しさのあまり綺麗に包まれたハーバリウムを取り出して、まじまじと見つめる。
小さな小瓶には、パステルカラーの薔薇が七色全て詰められていて、底にはヴァイオリンの置物と音符のビーズが散らばっている、私のハーバリウム。
実はこれ、昼神が私をイメージして作ってくれたのだ。
お店の人が、カップルで来る人は、お互いをイメージして作って贈り合う人が多いようで、私も昼神もそれに食いついたという訳だ。
私は青と水色と白の花を散りばめて、バレーボールの置物と、犬の置物を入れたハーバリウムを作った。
インターハイが記憶に新しい私にとって、昼神のイメージカラーは専らユニフォームの色だったのでこんな色になってしまったのだが、昼神は嬉しそうに笑って「ありがとう」と言ってくれた。
そして昼神が作ったハーバリウムも私の好みドンピシャ。
こんな可愛いものを作れる昼神に驚いたのもあるけれど、やっぱり私のために作ってくれたということが思いのほか嬉しかった。
「昼神って器用だね。」
「まぁね。でも今回のはかなり気合い入れたよ。」
「なんで？」
「そりゃあ、Aちゃんにあげるものだからね。適当に作る訳にはいかないよ。」
「………………タラシめ。」
「Aちゃんにだけだよ。」
この野郎、なんでそんなこと普通に言えるんだ。
こいつに何かを言われる度、嬉しいと舞い上がったり、恥ずかしすぎて心臓が顔が赤くなったり、ドキドキして心臓が痛くなったり、もう死にそう。
私が死に物狂いで何か言っても、それさえも甘い言葉で打ち返される。
………この時点で無理。心臓壊れる。
「じゃあ、お昼は何食べる？」
「何があるの？」
「近くだと、スープ専門店とかパン屋とかあるよ。中華行って冷やし中華とか食べるのも良いかもね。」
「じゃあ中華行こう。口に出したってことは、昼神も食べたいんでしょ。」
「……あ、バレた？でもいいんだよ。Aちゃんの好きな物食べて。」
「バカ。どちらか一方が妥協するだけのデートなんて、そんなの辛いだけでしょ。」
「………デート？」
「…………なに、間違ってる？」
「……ううん。そう思っていてくれて嬉しい。」
昼神は笑って、また私の手を繋いでから立ち上がる。
もう私には、この手を拒む理由も、デートという言葉を訂正する理由もない。
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早苗くん - 36話めっちゃすきです。｢海を渡る鴎に相応しい、海の男の音が響き渡る。｣のところカッコよすぎです。 (6月10日 12時) (
レス) @page36 id: 5215e79380 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - あぽ様です。さん» ですよね！わかってるんですよ｢現実的じゃないなぁ｣｢ちょっとキャラ崩壊かなぁ｣とは！しかし！私の解釈で書いてまいりますので！応援してくださる方はそのままで、ダメな方はゆっくり回れ右をして頂く！これが葵坂流でございます！コメントありがとうございました！ (5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ぺpopo。さん» ありがとうございます！！え、後味スッキリでした？！そう思っていただけたなら作者冥利に着きます！！夢主の性格は、作者どうしてもThe.女の子っていう子が書けない中でどうやって恋愛小説っぽい子を書くか思案した結果あぁなりました！これからもよろしく願いします！ (5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» たくさんのコメントありがとうございまする！やはりあそこですか！！作者も結構頑張ってキュンを追求したのですけど、やっぱり展開が早すぎたかなぁと反省しておりました。そんなところにFLOWER様のコメントを頂きまして、大変心がほっとしております！次も乞うご期待！ (5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
あぽ様です。 - 告白現場に居合わせる、ひどい振り方とか夢あるあるだね (5月3日 0時) (レス) @page3 id: a540b2ed94 (このIDを非表示/違反報告)
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