12.巨人の密林 ページ12
「………(でっか)」
その週の土曜日。
私は、とある高校の体育館に来ていた。
今日は、男子バレーボールの夏の全国大会であるインターハイの予選一日目。
祝日と合わせて3日間全てで行われるとの事。
1・2日目は各高校の一般会場で行われ、3日目の準決勝決勝で松本市総合体育館というもっと大きな会場に行くとの事。
故に、先程の私の発言。
なにが「でかい」のか。
「…………(でっかいな、どいつもこいつも)」
ここの会場にいる奴ほぼ巨人でものすっごく腹が立つ。
カフェオレ野郎よりかは低いけど、身長が高い奴が甘い汁をすすれると言われるスポーツなだけあって、ここはまさに巨人の密林。
身長が160cmはある私でも、かなり圧倒される高さだ。
というか、応援のお母様方以外の女子が全く見当たらないし、なんなら体育館の中からもうボールの音が聞こえてくる。
開始のプロトコールなるものが8時半で、鴎台は2試合目からだったので、10時くらいに行けばいいと思ってたけど、遅すぎただろうか。
この間、星海に聞いたのは2つ。
1つは今日のインターハイの日程。
星海もあいつもユニフォームを貰っているばかりか、一年でレギュラーとか出来すぎてると悪態をついてしまったが、応援に行くと行ったら割と喜んでくれた。
なので初めから居ないとかそういうことでがっかりさせたくない。
私は体育館の下窓から頑張って得点板を見る。
鴎台 × 間宮工業
得点板に得点はなかったけど、今は開始前の合同練習なるものが行われていた。
良かった、試合開始前には間に合った。
すると覗き込む影に気付いたのか、何やら人が近付いてきた。
「おっせえ!!」
「ほ、星海っ」
巨人達の中でも一際小さいこの男。
割とおこ顔
「ごめん。こんなに早いものだとは思わなくて。」
「いいから、早く裏から入って上あがれ!もうすぐ扉閉まるぞ!」
「あ、うん!」
星海にそう言われ、私は慌てて扉を開けてステージ裏に向かい、階段を上がって体育館のギャラリーに向かった。
「バカ!!そっち相手側だ!!!」
「え、あ、ご、ごめん!!」
下から星海に仁王立ちされて怒られる。
ごめんだけど、君練習しなくていいの?
「ま、いいや。どうせコートチェンジするし。」
「え、なんて???」
「そこから動くなバカ!!」
「さっきから酷いんだけど?!」
そう言って、星海は練習の輪に戻って行った。
私は初めての体育館に圧倒されていて、こちらに物凄い視線を向けていた人物に気付かなかった。
150人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
早苗くん - 36話めっちゃすきです。「海を渡る鴎に相応しい、海の男の音が響き渡る。」のところカッコよすぎです。 (6月10日 12時) (レス) @page36 id: 5215e79380 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - あぽ様です。さん» ですよね!わかってるんですよ「現実的じゃないなぁ」「ちょっとキャラ崩壊かなぁ」とは!しかし!私の解釈で書いてまいりますので!応援してくださる方はそのままで、ダメな方はゆっくり回れ右をして頂く!これが葵坂流でございます!コメントありがとうございました! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ぺpopo。さん» ありがとうございます!!え、後味スッキリでした?!そう思っていただけたなら作者冥利に着きます!!夢主の性格は、作者どうしてもThe.女の子っていう子が書けない中でどうやって恋愛小説っぽい子を書くか思案した結果あぁなりました!これからもよろしく願いします! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» たくさんのコメントありがとうございまする!やはりあそこですか!!作者も結構頑張ってキュンを追求したのですけど、やっぱり展開が早すぎたかなぁと反省しておりました。そんなところにFLOWER様のコメントを頂きまして、大変心がほっとしております!次も乞うご期待! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
あぽ様です。 - 告白現場に居合わせる、ひどい振り方とか夢あるあるだね (2023年5月3日 0時) (レス) @page3 id: a540b2ed94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ