カフェオレ男子【昼神幸郎】

２．崩れ落ちた ページ2

そんな私の「毎日カフェオレ生活」が始まって数週間。



春の暖かな陽光が也を潜め、やってきたのは５月の爽やかな陽射し。



チラホラと夏服の子も見かけ始めた、ある日の自動販売機前にて、私は目撃してしまった。





「初めて見た時から、貴方のことが好きでした！

私と付き合ってください！」





自動販売機の真横にある渡り廊下で、一世一代の大告白が行われているのを。



いやいや、ここには私と彼らしかいないとはいえ、他人がいるところでやるもんじゃないでしょ。



今からでも何処かに身を隠そうとしたが、それよりも物音を立てて邪魔をしてしまう方がダメな気がした私は、逆に普通に振る舞うことにした。

普通にお金を入れて、普通にカフェオレのボタンを押し、普通にカフェオレを持って、その場を去った。





＿＿＿＿ように見せて、完璧にあの位置からは死角の場所に移動し、目と耳を凝らした。




スリッパの色的に、男女とも同じ１年生。




女の子の方はメイクも制服カスタムもバッチリ決めて、可愛いことで有名な子だったけど、告白されている男の方は流石としか言えない、もっと良いルックスを持っていた。



かなり大きい身長。


少し短めの色素の薄い茶髪。


顔は整っているけれど、穏やかな緩い雰囲気を思わせる、優しそうな人だった。




まだ入学して１ヶ月とはいえ、こんなイケメンを延々と放っておくことは無いだろう。なにせ、高校生活は風のように終わってしまうのだから。



けれど、男の方の表情を見る限り、あまり乗り気ではなさそうだった。



それはそうだ。やはりまだ１ヶ月。彼としては早すぎる展開だろう。

私の主観的に、彼はお遊びで付き合ってみようとか考えるタイプではないから、これはきっと断られてしまうやつだ。




あぁ……南無南無………




思わず両手を合わせてしまう。


せめて、女の子が傷つかない断り方で頑張れ……！

……いや、気持ちを断られるのって、どんな形でも苦しいもんな。



とにかく、穏便に済みますように………！





「ごめんね、気持ちは嬉しいけど、君に(・・)割ける時間が、俺には１秒もないんだよね。」





それを聞いた私の脳内で、優しそうな雰囲気の男の子、という第一印象が崩れ落ちた。

３．｢嫌｣なものを見た→←１．第一印象

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