１５話 ページ16
歌仙の声で起き上がり、声のした方に駆け寄ると、そこには何かを囲んで見下げる江雪と宗三、そして私達を迎えた歌仙という面子が待っていた。
『何かって何？どこから出てきたの？』
「花壇の土の中からだよ。良い苗床を作っていたら鋤の刃に当たってね。」
つまり、あの馬糞の山に埋まっていたものだろうか。
歌仙が分からないとなると、戦国時代にはない代物。
即ち現代のものということになる。
あの山の中に現代のもの……なんだか引っかかるような気がして、私は宗三と江雪の目線の先を見た。
＿＿＿そこには。
『……懐中時計？』
引っ掛かりが現実となった。
あの馬糞の山の中には通信機があった。
その通信機には水心子正秀の神気が強く残っていた。
そしてその馬糞の山から今新しく懐中時計が見つかった。
……その懐中時計は……
『……私があげた懐中時計だ。』
「主が、あげた？」
『政府時代の育成期間に、とある刀剣男士にあげたやつだよ。と言っても、担当になった刀剣男士全員にあげたやつだけどね。』
私は汚れたそれを浄化の術で清め、そっと手に取る。
チェーンの部分には紫のリボンが巻きついているが、流石にボロボロだった。
時計の針も止まっており、外傷も酷い。
錆があったり、針が止まるのは長い間放置すれば仕方が無いが、部品が壊れたりしているのは気になる。
まるでこの壊れ方は、誰かが故意に地面に叩きつけたような壊れ方だ。
私は、壊れてむき出しになった時計の中を覗き込む。
するとそこには一枚の写真が挟まれていた。
「……主だ。」
私の手元を覗き込んでいた髭切が呟く。
覗き込んでいたのは髭切だけではなく、その場にいる全員が覗いていた。
髭切が呟いた通り、その写真は政府時代に証明写真を撮った時の私だった。スーツ姿がぎこちなくて、なんとなく恥ずかしくて引き出しに仕舞いこんでいた代物。
何故そんなものがここに、という皆の視線を感じるが、私は覚えている。
ーー
「ねぇ、これ灰色様でしょう？」
『あ、いつの間に！返しなさい源清麿！というか捨てなさい！』
「え、捨ててしまうの？なら僕にくださいよ。」
『な、何に使うつもりです…？』
「御守りです。貰った懐中時計の中に仕舞うので誰にも見られませんから！お願いです！！」
『はぁ………？』
ーー
誰にも見られないのなら、どうせ捨てるし供養で、なんて思った私は、彼に自分も写真を渡した。
思い出した。彼に送った懐中時計には、彼を象徴する紫のリボンをつけたのだった。
……持っていたんだな、清麿。
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リーナ(プロフ) - 好きです！続き頑張ってください！ (1月30日 22時) (
レス) @page19 id: 3fc7d7acf0 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー(プロフ) - コメント失礼します！とても楽しく読ませてもらっています！続きが更新されるのをすごく楽しみにしています！頑張ってください！ (1月30日 20時) (レス) id: b390ce6133 (このIDを非表示/違反報告)
るりな(プロフ) - 初コメ失礼します！とても楽しく拝見してます！監査官たちが救出されるの楽しみにしてます！！更新頑張って下さい！応援してます！ (1月22日 21時) (レス) id: 834446252c (このIDを非表示/違反報告)
味噌煮込みうどん(((プロフ) - 続きを拝見できる日を心待ちにしておりますわ！ (1月10日 9時) (レス) @page19 id: 9e68e2def5 (このIDを非表示/違反報告)
まらと(プロフ) - めちゃめちゃ面白い作品です！！更新頑張ってください！楽しみにしてます！！！ (12月29日 0時) (レス) id: 0e3ba9734d (このIDを非表示/違反報告)
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