・2 ページ20
順調に練習が進み、お昼休憩となりました。
「A！！自主練しよ！！」
『りんちゃんあのね、お昼休憩はお昼を食べて休憩するためにあるんだよ。』
「やだ！！！！！」
『ト〇ロのメ〇ちゃんみたいな駄々の捏ね方しないでよ……』
高校や大学の時と変わらず、りんちゃんはギリギリまで練習をしたがります。
私はもうお腹ペコペコですし、午後からの練習の為に少し仮眠をしたいのですが、りんちゃんに付き合っていてはその時間がなくなってしまいます。
私が必死に説き伏せるも、りんちゃんはふんっと子供みたいな拗ね方をします。本当に彼女は私と同じ年齢なのでしょうか。
「ふんっいいもん！彼処にいる野郎どもの誰かとやるから！！」
『りんちゃん！！いい加減にしなさい！！！』
私はヒートアップするりんちゃんの後ろ襟を掴み、物理的に動きを止めました。
見学許可が降りたとはいえ、高校生の彼らは部外者でアリーナへの立ち入りは許可されていません。
それをりんちゃんの独断で決行する訳にも行きませんし、数少ないですが記者陣だって来ているのですから、日本代表の前に大人として有るまじき行動は許せません。
『皆坂さん！(代表トレーナー)この幼児の見張りお願いします！また勝手な行動をしようとしたので……』
私は、選手のお目付け役とも言える代表アスレチック・トレーナーの皆坂さんにりんちゃんを預けました。
皆坂さんは｢またァ？！｣と叫び、りんちゃんを萎縮させて黙らせつつ、バックヤードに文字通り引き摺って行ってくれました。
さて、これで私も自由です。
タオルと水分を持って、私もバックヤードに下がろうと、給水場に自分の物を取りに行きました。
『佐久早』と書かれたボトルとタオルを手に取り、その場を離れようと踵を返すと
「あ、あのっ！！！」
突如、上から声が聞こえてきました。
思わず目線を向けると、ギャラリーの手摺から身を乗り出して、私を見ている背の高い男の子がいました。
明るい茶髪で、猫みたいな切れ長の目。
大人っぽい印象を受けましたが、歳は多分ウチの聖臣と同じだと思います。まだ年相応にあどけなさが残るので。
私は体育館を見回しました。いつの間にか選手は私だけとなっていて、近くにも人はいなかったので、漸くここで私に声が掛けられたということを認識しました。
『え、あ、わ、私………？』
「はい。佐久早A選手、ですよね。」
『その通りですけど……』
恐る恐る応えますが、彼が何の為に話しかけてきたのかは分かりません。
私は少しの沈黙にドギマギしながらも、彼からの言葉を待ちました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 997人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨルバ(プロフ) - アイツって誰だろー？フラグ立ってるのは黒尾か赤葦か…… (7月15日 22時) (
レス) @page22 id: 86ffad6031 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高です、すごく好きです、、良ければ更新お願いします、、烏野との絡み沢山見れたら嬉しいです、、完結までついていかせてください！ (5月9日 19時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 続きがめちゃくちゃ気になってます🥺この後どうなるのでしょうか？？？ (2023年4月29日 9時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
♡ - えーーー誰と結婚したの、子供まで産んで3人目がお腹にいるの?!!やばい、楽しみすぎる…笑 (2023年3月21日 1時) (レス) @page12 id: efa07b04ac (このIDを非表示/違反報告)
アシュ(プロフ) - あいつって誰ぇぇぇぇぇぇ???!! (2023年3月21日 1時) (レス) @page12 id: 7fa36d182a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
