2002/4/7 ページ7
早いもので、私は無事に小学校を卒業し中学校に入学しました。
そして聖臣も小学校に入学しました。
背中に光るのは、紺色のランドセル。
勿論ピカピカの新品……ではなく、実は私のおさがりです。
このランドセルは私が一目惚れをして買ってもらって、6年間大切に使ってきたので特にくたびれたところや汚れたところはなく、聖臣もまた使えることになったのです。
本当は新しいランドセルを買ってあげる予定だったのですが、聖臣が断固として首を縦に降らず、最後まで私のランドセルを使いたがったのです。
しかもそれだけではなく、通学帽や体操服等、あたらしく買うまでもなく、全て私のおさがりを使いたがる聖臣に、父も母も苦笑いでした。その分お金が浮いたと喜んでもいましたが。
「ねーちゃん、おれバレーやる!!ねーちゃんと同じポジション!」
『お、嬉しいなぁ、覚えててくれてたんだ!』
その分のお金は、聖臣のバレーグッズに費やされました。
私は同じものを長く使いたがる質でしたから、シューズもサポーターもボロボロでしたし、年の差があると言えど、私と聖臣とでは性別も違います。これだけは妥協できないと判断した両親によって、様々な洋品が揃えられました。
「はやくねーちゃんみたいになりたいなぁ。なんでも最後までがんばるねーちゃん、かっこいいから!」
『天使か!!!!』
おもわず抱き締めました。
確かに、私は中途半端が嫌いで、手を出したら最後までやり遂げることを目標にしてきました。
バレーボールも然り。
中学のバレーボール部は、一応強豪とされるところでしたから、私のやり遂げる精神に拍車がかかろうとしていました。
そんな私を、聖臣は見ていてくれていたのです。
これが叫ばずにはいられましょうか。
そしてお互いに新生活が続いた、ある夜。
21時にはしっかり寝ると決めていた私は、自分の部屋で就寝の準備をしていました。
しかし突然、ノックが響きました。
誰だろうと部屋の扉を開けると、そこには枕を抱えた聖臣がいました。
「………ねーちゃん、一緒に寝ていい??」
『………………ぇ、天使か??』
枕をぎゅっと抱きしめ、恥ずかしそうに告げる聖臣の、なんと可愛らしいことか!!!
『もちろん。たまには一緒に寝たいよね。』
聖臣は小学生になると同時に、孝道が使っていた部屋を与えられました。いつか帰ってきた孝道と、ここで一緒に寝るんだと、嬉しそうに言っていました。
私は聖臣を抱き上げ、一緒に毛布にくるまりました。
小さな小さな聖臣でした。
其れが、まさかあんなに大きくなるなんて、思いもしなかったのです。
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ワッキー - かっこいいし、かわいいってなんだよぉぉぉ!マジで面白かったです! (2023年4月16日 9時) (レス) @page50 id: a8cf9029ad (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 佐久早くんイケメン過ぎる、叫んじゃうとか、これ思いつく作者さん天才過ぎます!! (2023年3月6日 22時) (レス) @page43 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
雑草(プロフ) - アッ……しゅき…… ♡てぇてぇ、…溶けてまう………!!!更新頑張って下さいませ…!!!!!!!!! (2023年3月3日 0時) (レス) @page14 id: a938fb89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - 佐久早くんが尊すぎ、、、。幸せ( ^ω^ ) 更新頑張ってください! (2023年3月2日 19時) (レス) id: 3268445afc (このIDを非表示/違反報告)
むむたろう(プロフ) - 佐久早くん、天使ですよね…。兄弟になれるなんて羨ましい…()更新頑張ってください(^^) (2023年3月2日 17時) (レス) @page3 id: aff0088c77 (このIDを非表示/違反報告)
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