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焦燥と緊張から、扉を開ける音が大きくなってしまいました。
その時のアリーナに居た人々の視線が私に注がれていましたが、そんなこと気にしていられません。
私は無我夢中で最前列に走り、手摺から身を乗り出して戦況を確認しました。
得点板には
２４・４・２３
４セット目の終盤。３セット目走り落としてしまったのでしょう。
コート状況的に、左が梟谷で右が井闥山。
つまり、梟谷のマッチポイント。
東京代表は２校なので、この試合に負けたってインハイには出られる訳ですし、なんならこのセットを落としたって５セット目がある訳ですから、慌てる必要はありません。
けれど私の心の焦りと緊張は収まりません。
現在はタイムアウト中なのか、コートの中に人は居らず、副審が腕時計をじっと見つめています。
私が身を乗り出していたのは、丁度どちら側の陣営のものではなく、周りには観客や負けたチームの保護者達がぎっしりと席を埋めつくしていました。そして沢山の視線が、私に降り注いでいました。
その事に漸く気付いた私でしたが、焦りと緊張の前に羞恥は弱かったのか、何を思うこともありません。
「＿＿＿＿＿＿Aちゃん。」
『！』
すると突如下から声がかかりました。
正確に言うなら、右下の、井闥山のコートのベンチからです。
私は瞬時に視線を下にやると、そこにはスクイズボトルを片手に、タオルで汗を拭い、井闥山のライムカラーのユニフォームがよく似合った、私の天使でした。
『聖臣、ごめ、おそくなっちゃった………っ』
「うん。待ってた。」
私を見上げる聖臣の表情は、いつもの無表情。
けれど声は、少し弾んでいました。
聖臣の、真っ黒な目と視線が交わります。
この距離でも、その聖臣の瞳に、私がしっかり写っていることが分かります。
一気に、私の身体から強ばりが抜けていきました。
それと同時に、いつも通りの私が戻ってきたような気がして、私は笑顔を作ると、聖臣に話しかけました。
『絶体絶命だね。かなり危ないんじゃない？』
「………まぁ、相手も強いし。」
『どうするの？このまま４セット目は諦めて、５セット目で片をつける？』
私の挑戦的な言葉に、聖臣は一度目を見開きます。
そして最後にゆっくりと口元に弧を描いて、言いました。
「まさか。追い上げるに決まってる。」
その言葉と同時に、タイムアウト終了の笛が鳴り響きました。
聖臣がスクイズとタオルをベンチに置いて、私に背を向けてコートに戻っていきます。
私はニヤリと笑い、そして言いました。
『じゃあ、そんな私をわからせて？』
勿論、大声でなんて言いませんが。
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ワッキー - かっこいいし、かわいいってなんだよぉぉぉ！マジで面白かったです！ (2023年4月16日 9時) (
レス) @page50 id: a8cf9029ad (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 佐久早くんイケメン過ぎる、叫んじゃうとか、これ思いつく作者さん天才過ぎます！！ (2023年3月6日 22時) (レス) @page43 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
雑草(プロフ) - ｱｯ……しゅき…… ♡てぇてぇ、…溶けてまう………！！！更新頑張って下さいませ…！！！！！！！！！ (2023年3月3日 0時) (レス) @page14 id: a938fb89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - 佐久早くんが尊すぎ､､､。幸せ( ^ω^ ) 更新頑張ってください！ (2023年3月2日 19時) (レス) id: 3268445afc (このIDを非表示/違反報告)
むむたろう(プロフ) - 佐久早くん、天使ですよね…。兄弟になれるなんて羨ましい…（）更新頑張ってください(^^) (2023年3月2日 17時) (レス) @page3 id: aff0088c77 (このIDを非表示/違反報告)
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