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何も会話が無いまま、私達は靴箱に辿り着き、靴を履き替えて玄関を出ました。
雨は更に強くなり、2本持ってきた傘のうちの1本(それもお気に入り)を既に壊している私は、絶望的な気分でした。
そして、おそらく潔癖症の聖臣は、雨に濡れたり靴を汚したりするのはかなり嫌がることでしょう。
考えた末、私は聖臣に提案をしました。
『聖臣、ここまで私が車持ってくるから、雨に濡れないところで待っててね。』
「………は、傘あるじゃん。」
『壊れちゃったんだよね、風強すぎて。
もう1つの方も壊すといけないし、私は別に濡れても平気だけど、聖臣は濡れたり汚したりするの嫌でしょう?』
「そ、うだけど……」
何やら煮え切らない感じの聖臣ですが、私は何が正解なのかは分かりません。少なくとも、わたしが聖臣の立場だったら喜んで親に行ってもらうので、間違ったことは言っていないと思うのですが………。
「……………姉ちゃんと一緒に行く。」
『……え?でも傘1つしかないよ?』
「一緒に入ればいいじゃん。」
『でも、足元悪いし、汚れちゃうし。』
「後で綺麗にするからいい」
『おーう……』
聞いていた話と違うというか、それともちょっとした思春期で反抗期なのか……何やら今日の聖臣は不機嫌も相まってよく分かりません。
けれどまぁ、本人がいいと言っているので、その通りにしようと思います。
私は傘を開き上にさすと、聖臣の背に手を回して身体を密着させました。
すると聖臣は一瞬躊躇うも、両手を私の体に回してぎゅっとしがみついてきました。
私は意を決して、雨の中を飛び出しました。
かなり距離があるのですが、聖臣は離れそうになる度に力を込めて抱きついて来るので、私の骨が折れそうになりました。最近の中学生は力も強くて、一気に老いを感じました。
「…………っ、姉ちゃん」
『………っ、うん??』
「……………さみしかった」
『えっ、あ!!!ちょ、傘!!!』
その瞬間、私の手から握力という握力が消え去り、傘が風で飛ばされそうになり、聖臣の背から手が離れました。
すると聖臣は更にぎゅっとしがみついてきて、私の骨がまた悲鳴を上げました。
「………毎日電話ばっかだし、顔見れないし、そしたら今日サプライズとかでいきなり来るし、他の奴らにも見られたし、元也とも楽しそうに喋ってるし……で、ちょっとムカついた。………だから今度からは、家に居てよ。他の人にみられたくないから。」
ちょ、きよおみ、そういうことは
『家に帰ってからゆっくり聞かせて−−−−−−!!!』
※ゲリラ豪雨中
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ワッキー - かっこいいし、かわいいってなんだよぉぉぉ!マジで面白かったです! (2023年4月16日 9時) (レス) @page50 id: a8cf9029ad (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 佐久早くんイケメン過ぎる、叫んじゃうとか、これ思いつく作者さん天才過ぎます!! (2023年3月6日 22時) (レス) @page43 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
雑草(プロフ) - アッ……しゅき…… ♡てぇてぇ、…溶けてまう………!!!更新頑張って下さいませ…!!!!!!!!! (2023年3月3日 0時) (レス) @page14 id: a938fb89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - 佐久早くんが尊すぎ、、、。幸せ( ^ω^ ) 更新頑張ってください! (2023年3月2日 19時) (レス) id: 3268445afc (このIDを非表示/違反報告)
むむたろう(プロフ) - 佐久早くん、天使ですよね…。兄弟になれるなんて羨ましい…()更新頑張ってください(^^) (2023年3月2日 17時) (レス) @page3 id: aff0088c77 (このIDを非表示/違反報告)
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