【HQ!】うちの末弟がマジ天使な件【佐久早聖臣】

2008/6/12 ページ13

大学生になった私は、バレーボールから手を引きました。


元々大学に行ったらバレーは辞めると決めていたので、悔いはありません。


ただ少し気がかりなのは、中学生になった聖臣の方です。

実は、あの一件から潔癖症になってしまったみたいで、性格もかなりネガティブ……慎重になりつつあるとの事で、元也くんが報告に来てくれました。


大丈夫だろうか、誤解されていないだろうか、友達はできているだろうか………私がこうも心配するのは、現在私は実家を離れているからなのです。


大学生の一人暮らしなんて言うものは珍しいことでもなく、別に実家から通えないこともないのですが、やはり一人暮らしの夢があったと言いますか。……まぁ、聖臣は最後まで渋っていましたが。


そんな心配もありますが、私は毎日勉強とバイトで大忙しです。あと変わったことと言えば、車の運転ができるようになりました。夢のドライブも、もう夢じゃありません。



そして今日は、そんな忙しい合間を縫って実家に帰省しています。と言っても、今日一晩だけの話ですぐ帰るのですが。あと、聖臣にはサプライズにしたくて何も話していません。実家を離れてから毎日のように電話をしていますが、悟られないように話をズラすのが大変でした。


そして私が家に戻ったのが、聖臣が登校してすぐの午前８時。もっと早く来て会ってやればいいのに、という母の言葉には胸が痛みましたが、サプライズをすると決めているんです、私は。


そして時間は経って１２時。事態は急変しました。

それは、最高に強すぎる豪雨と落雷と突風。
世にいうゲリラ豪雨。それも最大規模の雨雲で、これがこのまま夜中まで続くとのこと。

すると私の携帯に、母からメールが届きました。



【聖臣の学校が、下校を取りやめて保護者の引き渡しをするんですって。Aちゃん、確か車の免許とってたよね？家の車使っていいから、聖臣を迎えに行ってあげてね。】



嫌だ、なんて思うはずがありません。

久々に会う私の天使を、学校まで迎えに行けるなんて夢のようです。


私はウキウキ気分で傘を二つ手にし、家の車の鍵都身分証明書を持って、車に乗り込みました。


しかしウキウキ気分は吹き飛びました。

免許取り立てのペーパードライバーに、ゲリラ豪雨の雨足フロントガラスは難易度が高すぎました。

聖臣に会いに行く前に、私の命が無事かどうか……急に不安になる私なのでした。

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