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「………これはなんの騒ぎだ」
「あ、社長!おはよ!!Aがね!やっと僕に挨拶しに来てくれたんだ!!」
『私としたことが、私と貴方の可愛い乱歩の事を遠回しにしていたなんて、一生の不覚です。
………おはようございます、社長。』
不穏な風とギスギスした雰囲気が渦巻く室内に、漸く終止符が打たれようとしていた。
探偵社社長、福沢諭吉の通勤完了である。
乱歩は伯爵の腕の中から外れ、伯爵桃いつもの紳士的な振る舞いで恭しく礼をしてみせる。
福沢はなんだいつものか、とでも言う風に呆れ気味に溜め息を着くが、伯爵と同時に礼をした執事の背後に立つ、見知らぬ男を見て目を顰める。
それに気付いた伯爵は、見知らぬ男をこと騎士に目配せをする。騎士は頷いて、速やかに伯爵の傍に参上し、福沢に向かって恭しく騎士の礼をして見せた。
「………其方は?」
『ベディヴィエールと同じく私の従者の一人、近衛騎士ガウェインと申します。社長もご存知のと 通り、昨日北米に出現した太陽の異能力者です。』
伯爵の淡々とした紹介に、福沢は一気に眉間の皺を増やした。当たり前だ。こんな人の多い場所で、堂々も言うものでは無い。だが、騎士の正体は既に乱歩によって暴露され、その後自分からも名乗っている。しかしあれは乱歩に対するマウントだったような気もするが。
「高貴なる騎士にして、賢明なる
「………………」
そんな福沢の心境を知ってか知らずか、騎士は伯爵と同様に淡々と自己紹介をする。
彼の隣の伯爵は満足気に頷いているし、執事は止める理由もない。伯爵が探偵社に騎士を紹介することは、何も騎士道に反していることではないからだ。
福沢は、伯爵含めた3人の揺るぎない場違い感を正しく察すると、大きく溜息をつきたい衝動を抑え、低い声で呟く。
「…………場所が悪い。続きは社長室で聞こう。」
『いいえ、我らが
しかし、それに否を論じる伯爵。
この探偵社において、絶対的な権限を持つのはこの社長である。けれど言うなれば、その社長に否やを言える数少ない存在が、この伯爵であるのだ。
「……………A」
『ご心配召されませんように。これは皆が知るべき知識の1つに過ぎません。』
不穏な風は、意味を変えて吹き荒れている
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (7月5日 17時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎ(プロフ) - 更新嬉しいです!これからも頑張ってください! (2023年2月25日 22時) (レス) @page19 id: 3316933a16 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年1月16日 7時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - あのー、すみません。乱歩さんの『機嫌』が「期限」になってるな〜と思って報告しました。はい。 (2023年1月2日 8時) (レス) @page17 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - でんでんでんさん» ありがとうございます!夢主はイケメンを目指して書いてます!これからもよろしくお願いします! (2022年12月2日 8時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
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