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フィッツジェラルドは、かつてない憤りを感じていた

嘲笑と侮蔑の笑みが頭から抜けきらない
自分は一体、何と対峙していたのかさえ分からない

その2つの箇条点が示す事柄さえ分からないのなら、最早彼に救われる道など無い


始まりは、態々時計塔名義で送られてきた手紙。
それは紛れもなく、近衛騎士隊長デイム・アガサ・クリスティー伯から送られてきたもので、そこには世間を賑わせているあの宰相の行方が書かれていた

宰相の行方さえ分かれば見つけ出すのは簡単だと思ったが、宰相の姿は全く見当たらなかった。何か特殊な異能でも持っているのかと思ったが、姿は見えずとも圧力をかけるのは簡単だった
あの宰相が、本当に全力で引退に全振りするとは思えない。何処かに既に1つは情報屋を抑えている筈だと確信していた。そして見つけた、何十個もある候補のうちのたった一つ、彼女の守護がまだ追いついていない件の情報屋を見つけたのだ

その時点で、宰相は落ちたものだと確信したのが早合点だったのだ

伯爵も見知らぬ地で根を新しく生やすのには時間がかかる。その隙をとった時点で流石と言えば流石だが、それだけで伯爵の上を行ったと勘違いするのは可笑しい話だった


フィッツジェラルドは、ようやく見つけた“本”への道標に目が眩んでいた、としか説明が付かない
そして漸く、あの煩わしい『宰相』の抑止力も無くなった。地に落ちた伯爵を嘲笑ってやる、という魂胆の元で行われたものだった
伯爵が現役の頃、世界の均衡役としてこの『組合』も監視していた。フィッツジェラルドが北米の域を出ないように抑制し続けた伯爵が、今まで押さえつけていた自分たちに足元を救われる様を見るのは、どれほど気持ちの良いものだろう。そんな気持ちで始めたものであった


だが、だからといって手を出すのはあまりに幼稚であり、全体的に準備不足だったのだ

彼が、もう少し彼女の性格を読み取ろうとし、彼女の異能力まではいかずとも、隣に侍る執事や、先程現れた騎士のことを掴めていれば、その喉元1mまでは近づけただろうに


フィッツジェラルドは知らないのだろう

真に警戒すべきは伯爵の真なる力ではなく、その周りを固める“13人の異能力者”であることを

あの太陽の騎士も、未だフィッツジェラルドが存在に気付かないあの執事も、伯爵が所有する13人の一角に過ぎないこと
太陽の騎士と同等の存在が、あと12人もいること


その13人全てを使うまでも無く滅ぼされるちっぽけな存在が、自分たちであることを



「いいだろう、伯爵。こちらも死ぬ気で行こうじゃないか」



そう言って、フィッツジェラルドは再び嗤うのだった

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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (7月5日 17時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎ(プロフ) - 更新嬉しいです!これからも頑張ってください! (2023年2月25日 22時) (レス) @page19 id: 3316933a16 (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年1月16日 7時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - あのー、すみません。乱歩さんの『機嫌』が「期限」になってるな〜と思って報告しました。はい。 (2023年1月2日 8時) (レス) @page17 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - でんでんでんさん» ありがとうございます!夢主はイケメンを目指して書いてます!これからもよろしくお願いします! (2022年12月2日 8時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葵坂 | 作者ホームページ:ないっす  
作成日時:2022年11月17日 7時

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