【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する２

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幹部たちは息を飲む。
今回の伯爵絡みの一件については、不可解に思いながらも、長を諌める事ができなかったのだから。

宰相に手を出すことを本気で大丈夫だと思っていた者は、この愚かな長だけであった



「……あぁ、伯爵(アール)が優しくない、というのは言葉の綾でしたね。伯爵(アール)が本当に優しさが欠落していた人間ならば、私に“程々に脅してこい”なんて言うはずがない。

“確実に滅ぼしてこい”と言うはずですから」



この時、初めて騎士は笑った。
喜、でも、楽、でもなく、これは侮蔑だ。嘲笑だった。



「愚かなるフィッツジェラルド。伯爵(アール)は怒っていらっしゃる。伯爵(アール)の臣下に軽はずみに手を出し、伯爵(アール)のことを嘲笑ったこと。伯爵(アール)の愛し子に手を出し、生半可な金額で伯爵(アール)の手つきの組織を使おうとした事。


貴方は組織の長たる器ではありません。
手を出してはいけない人……それも世界の常識レベルで敵に回してはいけない人が分からないのですから」



フィッツジェラルドに怒りの青筋が浮かび上がる。
真正面から、嘲笑と侮蔑の言葉と表情を向けられたのだから。傲慢なフィッツジェラルドが怒らないわけが無い。

その怒りが、とんだ見当違いだということに気付かない時点で、彼はもう終わっている



「私の忠告はここまでです。貴方のような愚かしい成金は、本当に思い知らないと考えを変えないでしょうから。


ヨコハマで伯爵(アール)自らがご指導されるでしょう。それまでの間、彼女の怒りが収まるようコソコソ鼠のように過ごすか、愚かしくも更にかの方の怒りを煽るか……それはご自由にどうぞ」



そうして、騎士は背を向ける。
最早、愚か者に割く時間は無い、と言わんばかりに

そんな騎士の態度に、フィッツジェラルドが反応しないわけがなく、彼は口を開く



「いいのかな？ここで私に何らかの牽制をしないと、伯爵が怒るのではないかね？」
「いえ、これは伯爵(アール)のご命令です。貴方のような者に私の炎など勿体ないから、成果など期待せずに、爪痕を残したら帰ってくるようにと言われています。

分かりませんか。最初から貴方達に更正の余地なんて期待していないのですよ。本気で考えを変えさせるつもりなら、伯爵(アール)は私に北米の半分の消滅を命じられていたでしょうから」



そう吐き捨てると、今度こそ騎士は背を向ける
追撃による引き止めは許さない、と言わんばかりに、自身の背後の太陽で隠しながら

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