伯爵と名探偵 ページ16
翌日、探偵社に出勤した伯爵と執事が連れていた男に、社員全員が目を見張ることになる。
白のタートルネックに黒のジャケットを羽織ってボタンをきちんと留め、ジャケットと揃いのパンツを履いて、黒の革靴を履いている。首元に美しく光る金のネックレスが、男の金髪と金目によく映えている
ジャケットの胸ポケットには剣を象った金色のラペルピンが、その空間の全ての光を集めたが如く輝いていた。
『お早う諸君。本日もよろしく頼むよ』
「お早うございます、皆様」
そんな男と執事を引き連れて堂々たる姿で登場した伯爵は、いつも通りに爽やかな笑顔で朝の挨拶をし、執事もそれに殉ずる。
探偵社内には事務を含めた殆どの社員が出勤しており、その件の男にどう反応を示していいのか分からないといった顔をしている。
そんな3人に、真っ先に声をかけたのは太宰であった。
いつも通り、胸に手を当てて恭しく礼をとる。
「麗しの
……ところで、其方の方は………」
『あぁ、お早う太宰くん。
こちらについては社長にご紹介したいのだが……社長はご出勤だろうか？』
「社長なら先程」
「社長ならもういるよ」
伯爵の問に対して、太宰より先に応えたのは探偵社の頭脳たる江戸川乱歩だった。
乱歩はいつも通り、ソファにふんぞり返りながらお菓子を摘んでいる。その顔は不機嫌そうであった。
伯爵は彼の機嫌を察すると、ゆっくりと歩を進め、乱歩が座るソファの傍らに跪いた
『御機嫌よう、秀才たる
探偵社の後輩たるAが、ご挨拶を申し上げます。名乗りが遅くなり大変申し訳ございません』
誰もが息を飲んだ。
太宰だけでなく、執事や男も目を見張る。
我らが主に膝を付かせる存在には見えない。ならば、何が彼女をさせるのか。伯爵の臣下たる2人は驚愕と共に憤りも感じていた。
しかし当の本人は姿勢を崩すことなく膝を着き続ける。
乱歩はその姿を、口に菓子を咥えながら姿勢を戻す命を告げることなく黙って見つめている。
そして1分あたりの時が過ぎ、そろそろ2人の怒りも最高潮となりつつある頃に、漸く乱歩が口を開いた。
それはもう上機嫌に。
「もー！！Aったら遅すぎ！！社長なら兎も角太宰や国木田より顔見せが遅いなんて許せないんだけど！！」
『ふふっ、すまないね乱歩。相変わらずで何よりだ』
そして、伯爵も嬉しそうに笑ったのだった
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (7月5日 17時) (
レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎ(プロフ) - 更新嬉しいです！これからも頑張ってください！ (2023年2月25日 22時) (レス) @page19 id: 3316933a16 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年1月16日 7時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - あのー、すみません。乱歩さんの『機嫌』が「期限」になってるな〜と思って報告しました。はい。 (2023年1月2日 8時) (レス) @page17 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - でんでんでんさん» ありがとうございます！夢主はイケメンを目指して書いてます！これからもよろしくお願いします！ (2022年12月2日 8時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
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