鈴木財閥主催のパーティーにて ページ4
*
あの旅館での一件から数週間後。
何故か私は、鈴木財閥が開催するパーティーで、瞳をキラキラさせた蘭ちゃんに話しかけられていたのだった。
「──お久しぶりです、Aさん!」
「あ、蘭ちゃん!久しぶりだね」
「また会えて嬉しいです!」
うん、何でキミいるの??
「!あっ、そうだ!Aさんはなんで園子のパーティーに来てるんですか?」
可愛らしいドレスに身を包んだ蘭ちゃんが瞳を煌めかせ、私に問いかけてくる。
まあそれは普通の疑問だろう。だが、私は今任務としてこの場に来ているのだ。
言えるわけがない。
「私の勤めてる会社が、鈴木財閥とちょっと交流があったの。それで、私がここに来たんだ」
「へぇ、そうなんですね!Aさんって、どこの会社に勤めてるんですか?」
口八丁で誤魔化せば、更にそこから踏み込むような質問が蘭ちゃんの口から放たれる。
「うーん、⚪︎×会社って所なんだけど……ま、私は主に事務仕事をしてるからね。偉いとか、そんなのは無いよ」
嘘ですけどね!めっちゃ肉弾戦して戦いまくってます。
蘭ちゃんに嘘つくの良心が痛むなぁ……でも呪術界のことは言えないからね……
へぇー!凄いですね!と褒めてくれる蘭ちゃんには悪いが、私はこれ以上彼女と話している暇は無かった。
今回の私の任務。
それは、この会場を爆破し、鈴木財閥もろとも大量の人を殺そうと目論む呪詛師を生け捕ることである。
爆破予定時刻にはまだ少し余裕があるが、悠長にはしていられない。
だから私はあえて眉を下げて見せ、
「あ!ごめんね、蘭ちゃん。ちょっと上司に呼ばれちゃって……」
「!こっちこそ、引き止めてしまってすいません!頑張ってきて下さい!」
「ふふ、ありがとう」
何も着信のないスマホを、さも“それっぽく”見つめ、蘭ちゃんに小さく謝罪する。
勿論上司に呼ばれたというのは嘘っぱちだ。
蘭ちゃんから離れ、呪詛師を探すための嘘。
それを信じた彼女に手を振り、彼女が見えなくなった瞬間に早歩きでその場から離れる。
「……えーっと、呪詛師は……ふむふむ、コイツね……」
胸ポケットから封筒を取り出し、その中の紙に書いてある内容を素早く読み込む。
そして私は顔を上げ、ターゲットを探そうとして……
「──おや伊塚さん。お久しぶりです」
「ああ、安室クンかね。ははは、キミも随分と男前に磨きがかかってるじゃないか」
以前の褐色イケメンと、呪詛師であるターゲットが談笑している姿を見て、白目を剥きかけた。
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灯油豆腐 - 主人公ちゃんのCVは古賀葵さん (2月25日 0時) (レス) @page3 id: 8569e305d5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウイ - この作品が本当に大好きです!呪術廻戦とコナンのクロスオーバーの中で一番好きです💕これからも更新待ってます!! (2月8日 15時) (レス) @page2 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
みよ - めっちゃ面白いです頑張ってください (1月15日 17時) (レス) @page1 id: 75e241bf32 (このIDを非表示/違反報告)
くまのん - 続編、おめでとうございます!更新頑張ってください! (1月5日 18時) (レス) @page1 id: d0f6523921 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずき | 作成日時:2024年1月4日 9時