常識ギャップ ページ2
*
だが。
この行いが正義であると信じ切っている探偵達は、自分たちの推理を疑わない。
(言わされてるのかはわからないが、高校生の少女がこんなにもボロボロになる事なんて、ぜってぇ碌な事じゃないに決まってる…！)
普通の男子高校生として生きてきた工藤新一の常識と、呪い呪われた世界に身を置く呪術師の常識。
それが生んだギャップが、Aを悪の大魔王の如き最低最悪の人間へと仕立て上げていく。
今回のことを表現するのなら、『自分は安全圏で高みの見物をしながら、未成年に傷を負う可能性のある任務を言い渡した』とでも言うべきだろうか。
「！！」
と。コナン達の前に立っていた野薔薇が突然顔を上げ、旅館と反対側に位置する森の奥深くを見つめた。
その唐突な動きを不審に思ったコナン達が野薔薇の視線の先を確かめるために目を向けて──
「「……は？？」」
遠くからでもハッキリと見える鮮やかな珊瑚色の髪の毛をした青年が、森の生い茂る木々よりも高い上空に吹き飛ばされたのを目撃した。
青年は宙でくるりと一回転し、拳を構えた姿勢のまま落下の重力も加えた凄まじいスピードで地面へと落ちていく。
「──」
「ハァ！？何やってんのよ虎杖アイツ……！！」
絶句する2人とは裏腹に、野薔薇は顔を歪めて青年への怒りを口にする。
それは明らかに、今の異常事態に“慣れた”ものの反応であった。
「あー、もう！！これ以上1人じゃ虎杖の方にも限界が来そうだし……！ねぇ、アンタ達！！」
「っ……は、はい！」
「あの吹き飛ばされても無傷な男見たでしょ！？私らが相手取ってるのは、アンタ達で言う所の幽霊だったり妖怪だったりする、人智を超えた化け物なの。だからこれ以上深入りする前に帰りなさい。信じるか信じないかは別だけど、実際、世界にはそう言うモンが山程あるんだから」
野薔薇の言葉には奇妙な重みがあった。それは普段科学的に根拠のあることしか信じない探偵達だとしても、思わず頷いてしまうほどに。
「じゃ、こっちとしてはもう会わないことを願ってるわよ」
「えっ……ちょ、野薔薇お姉さ……！早！？？！」
フンと鼻を鳴らして踵を返した野薔薇に追い縋るように手を伸ばしたコナンが、次の瞬間驚愕の表情を浮かべた。
駆け出した野薔薇のスピードがあまりにも早かったのだ。工藤新一として、サッカーをしたり色々と体を鍛えていたときすら軽く凌駕する速度だった。
手を伸ばしたまま呆然と固まるコナンと服部。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 821人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯油豆腐 - 主人公ちゃんのCVは古賀葵さん (2月25日 0時) (
レス) @page3 id: 8569e305d5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウイ - この作品が本当に大好きです！呪術廻戦とコナンのクロスオーバーの中で一番好きです💕これからも更新待ってます！！ (2月8日 15時) (レス) @page2 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
みよ - めっちゃ面白いです頑張ってください (1月15日 17時) (レス) @page1 id: 75e241bf32 (このIDを非表示/違反報告)
くまのん - 続編、おめでとうございます！更新頑張ってください! (1月5日 18時) (レス) @page1 id: d0f6523921 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みずき | 作成日時：2024年1月4日 9時
