野薔薇の忠告 ページ50
⭐︎
(Aさんが対面した状態で呪物の奪取に失敗するとは考えにくい。つまり、恐らくコイツらはあの時Aさんが言っていた探偵達………ふん、Aさんの突入の混乱に乗じて呪物を引っ掴んで逃げてきたってわけね)
何て面倒臭いことをしてくれたのかと野薔薇は内心眉を顰めた。
だが……
野薔薇は呪力の籠もった釘をそっと構えた。服部のポケットから覗くジップロック目掛けて音を立てないように小さな力で釘を打つ。
(それはそれで好都合よ！あんた達は私がAさんに良くやったって褒めてもらうための成果になりなさい！)
針がジップロックの端を撃ち抜く。
野薔薇は釘に込めた呪力を操り、探偵達に気づかれないように彼らの背後から回って自らの元へと引き寄せた。
(……よし、成功！目当ての元も取れたことだし。これ以上ここに居れば面倒臭いことになりそうね)
小さくガッツポーズする。野薔薇にとってAとは憧れである都会のお姉さんであり、目指すべき呪術師としてのあり方そのもの。つまりそんな彼女から褒められる機会は多ければ多いほど良い。
これを持っていけば褒めてくれるかなとウキウキ気分の野薔薇がすっくと立ち上がった。
「ちょ、野薔薇お姉さん！？」
「そんな大怪我で何してるんや！今警察呼んでるから安静にしとき！」
それに慌てたのは探偵達である。
普通に考えれば痛みで動けないであろうほどの大怪我を負った少女だ。
2人は野薔薇のことを“何か恐ろしい事件に巻き込まれた被害者”だと予想していた。
……実態は全く違うのだが、“呪術”というオカルトを探偵達は信じないため、どちらにせよ辿り着く先は一緒である。
だが野薔薇とて呪霊の相手を虎杖1人に任せ切る訳にもいかず、お目当ての呪具も奪取したためこの場にもう用はない。
普通ならば何も言わずに立ち去っても構わなかった。
けれど。
「……はぁ。まあ、あんた達の根が善人ってことは分かったわ」
溜め息を吐く。
このままこちらの世界を無遠慮に探るのならば、呪霊の手によって殺されるかもしれない。
それは流石に寝覚めが悪かった。
「の、野薔薇お姉さん？」
「耳の穴かっぽじって良く聞きなさい、あんた達。野薔薇様からの最初で最後の忠告よ。──Aさんのことはもう探らず、世界には探偵ゴッコしてるあんた達の身に余る事件があるってことを知りなさい」
「……は」
探偵達が、顔を強張らせて目を見開いた。
⭐︎
続編完成しました。教えて下さった方、ありがとうございます！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3481人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リュウイ - 続編も見ました！！面白かったです！また続き待ってます！ (2月8日 15時) (
レス) @page50 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - (Rin)さん» ありがとうございます！いつも見ていると言ってくださり嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします！ (1月5日 23時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
(Rin)(プロフ) - いつも見てます！応援してます！！ (1月5日 22時) (レス) id: a9de1c3c9c (このIDを非表示/違反報告)
みるく - ゆゆさん» 本当にありがとうございます〜〜〜！！😭まだ分かっていなかったので嬉しいです！これからもどうぞ読んでくださいね🙇 (12月24日 9時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです！！ 続編の行き方なんですがまだ分からなければなのですがお話を追加の所が５０話になると自動で続編へ移行に変わりますよ！続編でも頑張ってくださいね！ (12月23日 18時) (レス) @page49 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みずき | 作成日時：2022年5月22日 17時
