旅館での一室 ページ40
▲
コナンとAの遭遇から、一週間が経過した。
あの日以来コナンは彼女と出くわすことは無かった。それを喜んでいいのかは黒の組織の情報を求めているコナンからしても複雑だが、まあそれはいいとして。
普段仕事をしている小五郎が、休みを取って予定を立てた旅行。
余り人には知られていない隠れ家スポット的な宿らしく、格安で借りられた部屋に入ったコナン達は、そこでたまたま服部と出会いーーーー
そして、お約束とばかりに響いた悲鳴に、止める蘭の声も耳に入れずに駆け出したのだった。
ーーーー山奥にある、とある旅館の一室。
柔らかな色合いの畳を赤黒く染める血が、まるで握り潰されたかのようにひしゃげた人体から夥しく流れていた。
壁にも障子にも飛び散った血に、悲鳴が喉元まで込み上げてくる。
「な、んなんだ、これは……!」
「ひ、酷い……!」
普通であれば人生でお目に掛かることなどない程の無惨な死体に、その旅館の一室へと入ったーーーーコナンら一行は、口元を抑えて青褪めた。
「なんや、コレ……こんなん人間ができるモンちゃうやろ…!」
唇を戦慄かせ、目を見開いた服部が声を絞り出す。
部屋の中心。引きちぎれた肢体が転がる様子は、まるで映画のワンシーンのようでどこか現実味がない。
警察官を親に持つ服部とて、ただの高校生であり、事件現場で推理をし、遺体を見ることはあっても、ここまで悲惨なものは未だかつて見たこともなかった。
そして部屋にポツリと落ちたその言葉を皮切りに、コナンは硬直していた体を跳ね上げ怒号を上げた。
「は、早く警察を呼んでッッ!!!!」
「う、うん!!」
かくして。
名探偵と自負するコナンと服部が遭遇した、人知を超えた殺人事件。
それを解く鍵を持つ女性ーーーーもとい神楽坂Aは、今から向かう旅館に目を向け、ぶるりと体を震わせたのだった。
「ーーーーAさん、大丈夫ですか!?……オイゴルァ虎杖ィ!!アンタのせいでAさんが寒がってるだろうが!!早く暖房つけろ!!」
「!?わ、わりぃ……!すんませんAさん!すぐ付けますッ!!」
「わ、わーっ!野薔薇ちゃん、虎杖くん、私は大丈夫だよ!なんか悪寒がしちゃっただけ!」
(ーーーー……まさか、ね……)
行った先にかの少年がいるとは知らず、Aは車の窓ガラスから外を見て、そう思ったのだった。
▲
3476人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リュウイ - 続編も見ました!!面白かったです!また続き待ってます! (2月8日 15時) (レス) @page50 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - (Rin)さん» ありがとうございます!いつも見ていると言ってくださり嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします! (1月5日 23時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
(Rin)(プロフ) - いつも見てます!応援してます!! (1月5日 22時) (レス) id: a9de1c3c9c (このIDを非表示/違反報告)
みるく - ゆゆさん» 本当にありがとうございます〜〜〜!!😭まだ分かっていなかったので嬉しいです!これからもどうぞ読んでくださいね🙇 (12月24日 9時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!! 続編の行き方なんですがまだ分からなければなのですがお話を追加の所が50話になると自動で続編へ移行に変わりますよ!続編でも頑張ってくださいね! (12月23日 18時) (レス) @page49 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みずき | 作成日時:2022年5月22日 17時