第百四十三話 『リライフ』 ページ49
「…孤門、だと?」
そう言われた時、最初は妾のことを知っておるのかと思った。
自分で言うのもアレだが、孤門家はわりと有名な家柄だった。
なんでも明治初期になんたらかんたらだそうで、TVや新聞に出たことも一度や二度ではない。
それに妾が死んだときも、大きく報道されたらしい。
いや、意識の途切れる一瞬前に報道陣の声が慌ただしく響いていた記憶がある、程度だが。
まあともかくそんなところから、初めは妾を知っておるのかと思っていた。
しかし、こやつはどうもそう言う事では無さげだった。
未だ鯉口を切ったままの軍服の男はおもむろに口を開いた。
「…………なあ、あんた、『孤門明音』って知ってるか?」
明音…………って、まさか…………
「……妾の妹が、明音と言う名じゃったが…………」
しかし、こやつらは何故メイの名を知っている?
メイは元々孤児で、友人は居なかった。
そして無論屋敷に来てからは基本妾と那楠くらいとしか話していなかった。
となると、妾が死んだ後か?
いや、まさか…………
「…………メイも、こちらに来ているのか?」
しかしそれは考えうる最悪の結論であった。
よもやそんな事は無いだろう、と思って呟いたのだが……
「…………少なくとも、その可能性は高いと思う。…………あんたの妹の特徴とか、何かあるか?」
「……メイは、腰までの長い黒髪、蒼い目、赤い眼鏡じゃった。あと、背があまり高くなかったな。」
「………………そうか。なら、あんたの妹はこちらに来ている。俺達が会った時は、紺色の白衣を着ていたが……」
…………どうやらその最悪を引いてしまったようだ。
……ん?紺色の…白衣?
「そ、その白衣は、妾がプレゼントしたものじゃ…………!」
確かメイが孤門家に来て一年記念で渡したものだったはずだ。
「と、ともかくだ。お主らはメイの居場所は解るか?頼む、こんなふざけた口調で頼むのも馬鹿馬鹿しいとは思うが……………………
妾を、メイのもとへ連れていってくれ!メイには、謝らなくてはならんことが沢山あるのじゃ……!」
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ネット依存狼少女(プロフ) - 終わりました (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3914cf26d6 (このIDを非表示/違反報告)
ネット依存狼少女(プロフ) - 整理してきますね (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3914cf26d6 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - 海月さん» ……続編が必要なようです…… (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3d07d6e42c (このIDを非表示/違反報告)
五木(プロフ) - 更新しましたー!続編お願いします (2016年10月5日 20時) (レス) id: 97c0d8cbf8 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - お願いしますー (2016年10月5日 19時) (レス) id: e483cc4c78 (このIDを非表示/違反報告)
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