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第二百三十三話 『制御不能』 ページ39

綾崎side


さっきから時々、景色が歪む。


居ないはずの堕落者が見える。


瞬きをするうちにそれは無くなる。だから、実在してるわけじゃないはずだ。



目の痛みは増すばかりで、誰かの能力かもしれない、なんて思い始めた頃。



目の前に、堕落者の集団が現れた。


しかも。

「あれ……?さっき、視えたとおり……」


木々の位置、堕落者の数、覚えている限りで一致している。


何なの、まるで未来予知じゃないか。



「志士の眼……なのかな。でも、とにかく倒さなきゃ……」


日本刀を鞘から抜いて、構える。この動きもいい加減に慣れてきた。


どうしよう、目が痛い、視界がおかしい。



ほとんど何も見ずに、刀を振り回した。


それでも当たる奴には当たるらしく、バタリという音が何回か聞こえた。



「は、ぁ……」

体力が切れたのは半分くらい倒した辺りだっただろうか。


今にも襲ってきそうな堕落者。

動く気力すら残ってない僕。



目の奥が焼けるように痛い。そのことも僕の神経をすり減らしていった。



耐え切れずにその場にしゃがみ込む。


日本刀を地面に突き刺して、それに縋るようにして何とか倒れずにいる。



当然、そんな隙だらけの奴を見逃す馬鹿はいないわけで。



右端にいた堕落者が飛びかかってくる。それに続いて他の奴らも。



「もう……来るな、よ」



その時だった。


ドクン、と大きく鼓動が鳴る。


今まで感じたことない邪悪さが、僕の体を這いずり回っているような感覚。



確実に良くないことが起ころうとしている。


朦朧とした意識の中、僕は見ていた。



僕に触れられないまま、次々と死んでいく堕落者達を。


「『呪』……もう、止まって、良いよ?」


今まであんまり使ってなかった主属性の『呪』が、僕は意識していないにも関わらず勝手に発動している。



巻き込んだのは堕落者だけじゃない。


周りの木々が枯れていく。

花は萎れて粉々になる。



「止まれ……って、ば……止まれよ!」



止まらなかった。


地面に生えている草は鮮やかな緑を失って、堕落者の死体で汚れている。



僕の立ってる場所は、こんなにも汚い。



もう辺りを見るのが怖かった。


僕は何を壊した?本当に植物だけ?動物まで巻き込んでない?



考えるのが面倒になった。



もう、いいや。どうでも。



堕落者の死体の横で、僕は意識を失うように眠った。

第二百三十四話 『後悔者と航海者』→←第二百三十二話  『仲間?との遭遇』



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ネット依存狼少女(プロフ) - 終わりました (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3914cf26d6 (このIDを非表示/違反報告)
ネット依存狼少女(プロフ) - 整理してきますね (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3914cf26d6 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - 海月さん» ……続編が必要なようです…… (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3d07d6e42c (このIDを非表示/違反報告)
五木(プロフ) - 更新しましたー!続編お願いします (2016年10月5日 20時) (レス) id: 97c0d8cbf8 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - お願いしますー (2016年10月5日 19時) (レス) id: e483cc4c78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海月 x他12人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年9月24日 7時

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