第二百二十六話 『なんとなく解決』 ページ31
「…、……」
「起きろよぉ…私を置いてくな馬鹿…」
ぐず、と鼻を啜る音が聞こえる。
ちょっと、何で泣いてるの?
「どうしたの?」
重い瞼を無理やり持ち上げて、なんでか僕の体に突っ伏している様子のその人の頭に手を乗せて、撫ぜる。どうしよう、泣いた人間の泣き止ませ方なんて解らない。
ばっと凄い勢いで顔を上げると、真琴くんは驚いたように僕の顔を見つめた。
「大丈夫?」
「こっちの、台詞だ」
ぐにゃ、と顔が歪んで、涙をぽろぽろこぼし始めた真琴くんにどうしていいかわからず、少しあたふたしてしまう。
取り敢えず頭を撫でて、事の顛末を思い出す。
飛び掛ったところまでは覚えているんだけど…
「真琴くん大丈夫だから落ち着いて。僕覚えてないから」
「覚えてない…?そ、それは記憶喪失ということか!?」
随分混乱しているようで、真琴くんの涙腺が更に緩む。
あああぁあどうしよう…
「違うよ、倒れた時の原因を覚えてないだけ」
「そうなのか…!?他に怪我とか、」
「ないよ」
大丈夫っていったでしょう?
そういうと、真琴くんは安心したように微笑んで、次の瞬間ハッと我に返って顔を隠す。
「え?」
「は…はずか……、いや、取り乱してしまった…すまない…」
しにたい…と物騒なことをのたまう彼女に苦笑いして、ふぅ、と息を吐き出した。
第二百二十七話 『社交辞令のようなもの』→←第二百二十五話 『目が覚めた少女』
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ネット依存狼少女(プロフ) - 終わりました (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3914cf26d6 (このIDを非表示/違反報告)
ネット依存狼少女(プロフ) - 整理してきますね (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3914cf26d6 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - 海月さん» ……続編が必要なようです…… (2016年10月5日 20時) (レス) id: 3d07d6e42c (このIDを非表示/違反報告)
五木(プロフ) - 更新しましたー!続編お願いします (2016年10月5日 20時) (レス) id: 97c0d8cbf8 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - お願いしますー (2016年10月5日 19時) (レス) id: e483cc4c78 (このIDを非表示/違反報告)
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