第九十一話 『主義とは』 ページ44
綾崎side
えーっ、と?
ちょっと状況を整理してみようね。
鷹の英雄君に負けようとして、そしたら足に木が絡み付いてきて……うーん、ここが一番信じられない?というか信じたくないんだけど。
話しかけてきた人?の、下半身が馬?
ケンタウロス、だっけ?何でここにいるの?というか何で実在してるの?あれ?
しかもいきなり吐血して、そのタイミングで鷹の王様が来て。
ケンタウロスさん?を、起こそうとして、その後思い出したみたいに鷹の英雄君の足に巻きついた木だけ取って。
僕は自力で取れってか。あーはいはいわかったよ頑張りますよこの野郎。
取れなかったけど。
で、今度は英雄君も一緒にケンタウロスさんを起こそうとして。
で、起きて、威嚇?してるつもりなのか、嘶いて。
僕は戦意喪失を通り越して、戦おうなどとも思えないくらいに動揺していた。
頭の中がクエスチョンマークだらけだ。
取り敢えず言える事は。
「常識外過ぎてどうしよう……?」
ケンタウロスが常識だなんて、正気を疑うよ?
あ、いやでも分けて考えれば『人』と『馬』だから常識内……いやいや、分けて考えたらケンタウロスじゃないよね!?
人と馬っていう、絶対に交わらないであろう種族が組み合わさったものがケンタウロスなわけだから。
えーっと、だから、それで?
ケンタウロスさんは、戦う気満々でこちらを見ている。
「……もういいや」
僕は考えることを放棄した。
うん、もういいや。だって彼も、半分は人間なわけだしね?言葉も通じるもの。
そうだ。彼は人間だ。ちょっと下半身が馬っぽいけど、上半身は人間じゃあないか。きっと、そうだ。
「あの、何て呼んだら良いかわからないけど……取り敢えず僕に戦意は無いから、力抜いて?」
話しかけてみた。
今まで僕ら三人を警戒していたのに、視線が僕だけに注がれる。警戒は解いていない。
「さっき、倒れる前に言ってたよね。味方のところに運んでくれ、って。もう大丈夫なの?」
普通に、人間に接するみたいに。
「まあ、やっぱり運んでくれって言われても僕には無理だけどね……靴擦れの包帯をもう一回巻くのは面倒だけど、無理やり木を取ろうとするとズレちゃうからなぁ」
そもそも僕、そんなに力も無いし。
魔力も尽きてたわけだし。
「僕は君に危害を加えるつもりは無いよ。そっちの二人はわからないけど」
僕は平和に暮らしたい。
その主義は、誰に対しても貫かれるべきでしょう?
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ねこうさぎ(プロフ) - しのっちさん» しのっちさん!続編できたそうなので更新してください! (2016年9月11日 13時) (レス) id: 721485c99d (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - しのっちさん» しのっちさん!続編できたそうなので更新してください! (2016年9月9日 20時) (レス) id: 721485c99d (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - 大変長くお待たせしました。続編を製作しました。 (2016年9月9日 16時) (レス) id: e483cc4c78 (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - 海月さん» 続編を作成してください。 (2016年9月9日 8時) (レス) id: 721485c99d (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……お話がいっぱいだったようなので、続編ができるまで待機しておきます…… (2016年9月8日 23時) (レス) id: 3d07d6e42c (このIDを非表示/違反報告)
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