第六十五話 『絶望的な未来』 ページ18
あーあ、動きたくない。
何でだろうね?さっきまでは蛇のアジトに帰ろうと思ってたのに。
「何か……んー、ああ、そうそう。足が痛いんだよ。靴が窮屈で。だからもうちょっと寝てよう」
休む理由を無理やり見つけて、安そうなスニーカーを脱ぎ捨てて再び寝っ転がった。
本日は晴天。さっき空から石が降ってきた気もするし、近くから激流の音もしたし、火事みたいな音もしたし、雷の光が見えた気もするけれど、気のせいだろう。
「皆、物騒過ぎるよ?っていうか、何で闘うのかな」
こんな世界にいきなり連れてこられて。
全員が全員、帰りたいと願ってるわけではないはずだ。
そもそも、ここに連れてきた奴が、元の世界に戻してくれるっていう確証すらないのに。
僕は、ある程度───帰れない事も視野に入れ始めている。
でもだったら尚更、仲良くしなきゃダメじゃないか。
この不思議な能力と強力な武器が、いつまで保つのかもわからないんだから。
全部消えちゃったら、今は簡単に倒せる堕落者すらも脅威になる。
そんな状況になってまで、わざわざ戦争する馬鹿はいないと信じたいけど。
そこまで考えて、ふと気付いた。
雲なんてしょっちゅう形を変えるものだけど、そういうことじゃないのだ。
何というか……一瞬前までスイカだったのに、いきなり杖になったって感じ?
いやいや僕は何を言ってるんだ。もう少しマシな例えを探せ馬鹿。
「でも本当にそういう感じの……あれっ、杖じゃなくなってる?何か……えーっと、歪んでる?」
あー……もしかして僕、どこかに飛ばされる?
この間の鷹の王様との闘いでは、空間の歪みに助けられたけど。
「どうせならこのままアジトの中に……って、靴!脱ぎっぱなしだったッ!」
気付くのが遅過ぎたのか、手を伸ばした時には既に別の場所に飛んでいた。
「うっわぁ……僕、素足?あっ、違う。靴擦れしたから包帯巻いてたんだ。ほぼ素足だけどね!?」
辺りを見渡すと、湖の周りに生えていたのと似たような木々。
その中でも特に目に留まったのは、枝の辺りが粉々に粉砕された、無残に折れた木だった。
「自然破壊反対だよ?誰がやったのこれ……」
それはもう見事に、芸術のように折れた木の破片に腰掛け、これから靴をどうしよう、なんて考えていた。
こんな時に限って、誰かがやってくるのがお決まりなんだけどね。
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ねこうさぎ(プロフ) - しのっちさん» しのっちさん!続編できたそうなので更新してください! (2016年9月11日 13時) (レス) id: 721485c99d (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - しのっちさん» しのっちさん!続編できたそうなので更新してください! (2016年9月9日 20時) (レス) id: 721485c99d (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - 大変長くお待たせしました。続編を製作しました。 (2016年9月9日 16時) (レス) id: e483cc4c78 (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - 海月さん» 続編を作成してください。 (2016年9月9日 8時) (レス) id: 721485c99d (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……お話がいっぱいだったようなので、続編ができるまで待機しておきます…… (2016年9月8日 23時) (レス) id: 3d07d6e42c (このIDを非表示/違反報告)
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