第八十話『鯱』天野永久side ページ30
真賀流はすざましい力で鎌を根本から引きちぎっていく。堕落者というのは力が異様に強いことは前から知っている。その力を盗むことであの巨大堕落者に勝るほどの『チカラ』をてに入れたのだろう。
ただ、敵の装甲もなかなかのもので、真賀流がひとつ引きちぎるのにも五分程度の時間を要している。三十分はもつといっていたが、このペースだと六本の鎌を折るまでが限界だ。
鎌六本全てを真賀流がへし折ったとして、そのあと俺たちはどうやってこれを倒す?
永久は考えを巡らす。あの馬鹿みたいに硬い装甲を貫くには。
「そうだ。こうすればあいつを」
「永久ああ!後は、頼んだぞ!」
真賀流の絶叫。響き終わる頃には堕落者の鎌は全て使用不可能となっていた。
那楠と千尋夜は同士に攻撃を繰り出す。怒濤の連撃だった。
しかし丈夫な装甲は割れず、炎ブレスを放つ。鯱は後ろに下がって攻撃を回避する。
「千尋夜 木属性であいつを閉じ込めてくれ!」
「ああ、言われなくても!」
堕落者を囲むように地面から木が次々生えてくる。やがて木は隙間ひとつない綺麗な正方形を形つくり、その中に堕落者が閉じ込められる形となった。
「いけ、永久!」
「任せろ!」
永久は飛んだ。いや、翔んだ。空高く天高く。
そして堕落者の真上から、大量の水を注ぎ込んだ。
滝のように注がれる水を受けてもなお、堕落者の装甲には亀裂も入らない。
だが、狙いは別だ。
箱のなかが一体の巨大堕落者と水で一杯になった。
かのギリシャ神話の大英雄ヘラクレスは、矢も槍も無効化する皮膚を持つライオンと一戦を交えた。
自慢の怪力を使っても傷ひとつつけられなかった為に、彼が取った方法。それは息を止めることだった。
ヘラクレスはライオンの首を絞め続けて、見事退治して見せた。
この堕落者も同じ。どれだけ硬い装甲を持とうと、息ができなければ結局死んでしまう。
そして今、水に沈められているに等しい状況に置かれた堕落者は、蓄えていた息を使い果たして息絶えた。
第八十一話『鯱』古明地那楠side→←第七十九話『隼』破沼真賀流side
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジグ(プロフ) - 終わりました (2017年3月18日 17時) (レス) id: 551194a6cd (このIDを非表示/違反報告)
ジグ(プロフ) - 更新します (2017年3月18日 16時) (レス) id: 551194a6cd (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 終わりです (2017年3月18日 16時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 更新いきます (2017年3月18日 16時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
鯉城@メイドラのエルマ赤穂浪士で死亡(プロフ) - 終わりましたー、次の方どうぞ! 本当だ、順位上がってますね笑 (2017年3月18日 16時) (レス) id: 38080604d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海月 x他8人 | 作者ホームページ:( ˇωˇ )
作成日時:2017年2月3日 22時