【オリジナル企画小説】継承者Ｒ (ページ5)

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第五話ページ5

神殿の内部、閉じ込められているという状況。

それなのに、和服の男…古明地那楠は特に動じてはいなかった。

昨日の朝。

｢…………はあ。なんなんですかもう………｣

偽世界の太陽が照らす朝。那楠は黒い封筒を持ってため息をついた。

｢どうした？那楠。｣

｢あ、纔華様。おはようございます。これが家のドアに刺さってまして。｣

起きてきた妻に挨拶をし、那楠は封筒を差し出す。

｢封筒？うちに？ふむう…………差出人とかは書いておらんな。誤配はまずないしな。｣

そう。ここは偽世界。現実とは隔絶された世界だ。郵便物なんて来るわけない。

｢まあ開けてみるか。那楠、これ開けてくれ。｣

｢私ですか。まあ、はい。……………………えっと、

『明日の正午、地図に記してある場所に来てほしい。そこで最強の英雄を決める』

と。…………って。｣

｢それって五年前みたいなのがまた始まるって事！？｣

那楠の後ろには、いつのまにか黒い長髪の女性が立っていた。妻、纔華の義妹、明音だ。

｢明音さん。おはようございます。そのようです。そして、それに私が招待された、と。｣

｢その参加絶体強制だよね。あの『統制者』なら。｣

｢でしょうね。悩んでても仕方ないでしょう。明日、行ってきますよ。｣

｢おとうさん、どこかいくの？｣

次に現れたのは那楠の娘、美晴だ。

｢美晴。ちゃんと一人で起きられて偉いですね。お父さんはちょっと明日出掛けてきます。しばらく帰れないかもしれませんから、それまでお母さんと明音さんの言うことをよく聞くんですよ。｣

那楠はそう言って、答えを待たず美晴の頭を撫でる。

｢うん、わかった。｣

｢よし。それと明音さん。私がいない間、纔華様のお世話頼みますよ。｣

｢おっけー♪｣

そして翌日手紙の場所に行き、遺跡に入り、今に至る。

遺跡の壁を眺めていると、あることに気付いた。

｢ん？なんかあそこの文字、読めるような…………？何々…………

卑弥呼、それと、台与…………？｣

そこまで言うと、那楠の体は光に包まれた。