第二十三話 『鯱』 天野永久 ページ23
真賀流は岩を生成し、次々と永久に放つ。避ける、あるいは能力で別の場所に飛ばしながら直撃しないようやりくりし、ようやく岩が飛んで来なくなったと思ったら、今度は地面が揺れ始める。地形がどんどん変化していき、気がつけば足元は砂になっていた。
永久の前には真賀流が黒曜石の剣を構えて立っている。近付けば斬られると分かっているが、足元の砂が邪魔をして後ろに進めない。それどころか後ろに進もうと足を動かすほど、体は真賀流の方へと流れていく。
そして永久はようやく今の状況を理解した。今、地形は蟻地獄のようになっている。例えるのならば自分は餌である蟻で、中心で身構える真賀流は捕食者。
このままでは食われてしまう。と、必死に対策を考える。
ノアの力で自分を移動させて逃げるか? いや、さっきの闘いからしてこいつは高速移動ができる。もし鏡となる水を吸収されたら終わりだ。
まさに生死の境、永久は答えを導きだした。思わず口端があがる。
永久は右目を閉じる。
吸収されることがなく、この状況を打開できる攻撃。これしかない。
見開いた右の瞳に、真賀流が写りこむ。
彼の姿は一瞬にして消え、蟻地獄は止まった。
こんなことになんで気がつかなかったんだろうと思いながら、もといた木陰に戻る。
ノアの瞳で出現させられる場所は見たことのある場所に限られるそうだ。勿論、もといた世界は除くようだが。偽世界に来るのはこれで二度目。だからとびきり遠い所に飛ばしてやった。
ここから一番遠い、堕落者の巣のど真ん中に。
「ん? でもこれじゃ、誤解解けてねぇじゃん」
また一人反省した。
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I’m(プロフ) - A (2019年10月5日 15時) (レス) id: 12d36b8d85 (このIDを非表示/違反報告)
鯉城@二航戦バンザイ(アローラの姿)(プロフ) - 作者様、お話が全て埋まってしまったので続編お願いします。 (2017年2月3日 20時) (レス) id: fb07d4ff14 (このIDを非表示/違反報告)
烏丸(プロフ) - 終わりました。 (2017年2月3日 18時) (レス) id: bf31fee5d1 (このIDを非表示/違反報告)
烏丸(プロフ) - 更新します。 (2017年2月3日 18時) (レス) id: bf31fee5d1 (このIDを非表示/違反報告)
鯉城@二航戦バンザイ(アローラの姿)(プロフ) - 終わりました (2017年2月3日 10時) (レス) id: e72c19c3f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海月 x他9人 | 作者ホームページ:( ˇωˇ )
作成日時:2017年1月28日 10時