【オリジナル企画小説】継承者Ｒ (ページ13)

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第十三話望月蒼生side ページ13

「望月蒼生さん。貴女にわたくしの、フローレンス・ナイチンゲールの力を授けます。どうか役立てて下さいませ」

　封筒と同じように黒い部屋に飛ばされると目の前に自らをナイチンゲールを名乗る女性に一方的に力とやらを授けられ、また別の場所に飛ばされた。
　本当になんなの。主催者はかなり粗雑な人間だと思う。というか、この摩訶不思議な現象を引き起こせる時点で人間なのかと疑う。

「何処だろ」

　部屋を見渡してみればあるのは火のついていない小型のランプと簡素なベッドのみ。扉も見えたが必要最低限のものしかないのだろうか。ランプは火をつけるものを見つけない限り使い物にならないがないよりかはマシと思い、持っておいた。
　この部屋にはもう何もなく、扉を開けてみる。カランと音がしたのでこの裏側になにかついていたみたいだ。

「……初めまして」

「あっ、初めまして。貴女は望月蒼生さんですよね？」

　扉を開けた先にいたのは大体中高生の女の子。金髪に水色の目という珍しい容姿の上、服装もお嬢様のようで若干驚いた。そして、どうして名前を知っているのか。
　私が目を瞬いていると女の子は扉に手を向けたので私もそちらを向くとそこには表札のように私の名前が刻まれていた。カランという音はこれが扉にあたった音のようだ。
　他にも扉があるようで見てみると『呉部桃椛様』『橘誠夜様』と書かれている。一人目はどう見ても女性名なのでこの目の前にいる彼女の名だと思う。

「あなたは呉部桃椛さん」

「はい。そうですわ。残り一人いるようですけどまだいらっしゃらないようです」

　喋り方もお嬢様のようで実際に貴族だったナイチンゲールのソレとも似ていた。残り一人。『橘誠夜』が現れるのを二人で待った。