ラーメン ページ9
―Aside―
シルクの行き付けというラーメン屋さんへやって来た私達。
「いらっしゃい！おぉー！諒、彼女出来たのか？」
「え･････まぁはい。まだちょっと言えないんですが･････」
正式に発表するまでは立場的に言えないといった所かな。
「わかったわかった。誰にも言わないから今日はめでたいからお祝いだ！」
お店の大将と思われるとっても大きなおじさんは気さくで人が良さげな感じだった。
ピーク時間も過ぎた遅い夕飯で私達の他にお客さんはいなかった。
大将はグラスを鷲掴みして私とシルクの前に置くとシュッポン！と瓶ビールの栓を抜き、勢いよく注いだ。
「おめでとう！」
「ありがとうございます！」
ほらほら、飲みなって言われてとりあえず勢いに負けてグビッと一口飲んだ。
空きっ腹にビールはキツーイ！
「おぉ？彼女もイケる口かい。いいねー、ほらほら飲みな！おじさんからのお祝いだから」
「ありがとうございます！」
「Aムリすんな。大将、なんかつまみいいかな？空きっ腹だから回る回る」
「はいよ！諒は相変わらずいい呑みっぷりだなー」
「はい、どーぞ」
「ん、ありがと」
シルクのグラスが空いたのでお酌をした。
「気が利く彼女だねー。こんな可愛いと心配だろ？」
「えぇ、まぁ･････」
心なしか、シルクが照れているように見えた。
「もしかして結婚するのかい？」
「はい、明日彼女の実家の北海道へ行って挨拶してきます」
「ほぉー！北海道か気をつけて行けよ。だいぶ寒くなってきたから明日初雪かもってニュースやってたよ」
「僕もさっき予報見てびっくりしました！なぁ？」
「うん、でもさして山の中にいたら普通だよ？」
「山の中にって･････そんなに山奥なん？」
「山奥？どうかな･････わからないけど地元民は山の中って言うよ」
「でも彼女標準語だね。こっちきて練習したのかい？」
「え･････してないです。訛りがすごい地域もありますけど。でも方言とかはたまに出ちゃいますね」
「大将、腹減ったぁー！いつものね、Aも同じにする？」
「それって辛い？」
「辛くねぇよ、大丈夫！」
「じゃ、同じのにする！」
「あいよ！いつもの２つ･････すぐ出来るから」
湯気が立ち上る厨房の中で鼻歌混じりにラーメンを作る大将。
「ここはマジ旨いから期待して！」
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作者名：愛琉 | 作成日時：2020年2月14日 21時
