行方不明？ ページ4
「お会計で呼ばれたら帰れるよ」
「うん。なぁ･････Aのお母さんとお姉ちゃん何が好き？」
「え･････フィッシャーズ！」
「いや、食べ物ね。それはわかっとるし」
「んー、お姉ちゃんはプリンでお母さんはね、ひよこ」
「ひよこ？」
「うん！東京と言えばひよこのお菓子」
「あぁー！あれな。びっくりしたわ。ひよこ育てんのかと思った」
「えー！なにそれ･････おかしいって」
「いやいや･････Aも充分ズレてるし」
お会計で呼ばれ支払いに行こうとするAを一旦制止し
「パソコン、リュックに入れといて」
「ちょっと？ダメだよ！自分で払うから」
「もう結婚するんだから気にしない気にしない」
「んもぉー！まだしてないから！」
気にする必要ある？
もう結婚しているようなもんじゃん？
受付のおばちゃん
「あらあら仲良しねー。Aちゃん結婚するの？おめでとうございます。お会計は･･･旦那さんに貰いましたよ！」
「え、ありがとうございます！もぉーシルク払わないでよ･････」
「いいじゃん？なんで？」
「だって･････シルクの負担になる」
「あのね、これくらい払えないと生活出来んだろ？」
「さっき、飲み物も買ってもらったし」
「そんな気にする？」
「するよ！お金は大事だよ！」
「それはわかっとるし、無意味な浪費はしない性格なの。ま、とりあえず帰るよ」
病院のロビーで始まった些細な言い合い。
ケンカとは言わないまでも初めての意見の食い違いに空気が変わった。
病院を出て無言のまま歩いていると
「もしかしてフィッシャーズのシルクさん？」
視聴者さんだろうか？
背の高い男性数名と女性数名に囲まれた。
「え、はい」
「やったー！嬉しい！サインいいですか？」
「ごめんなさい。急いでいて･････」
「じゃ、写真だけでもみんな一緒にいいですか？」
「それなら、はい」
一人一人にサインするよりは写真の方が時間も短縮出来る。
「写真ありがとうございました！いつも動画見てます！頑張って下さい！」
こういう言葉は本当に嬉しい。
「ありがとう！せーの、アデュー！」
まさかこんな所でマスクしてたのにバレるなんて･････
「あれ･････A？」
集団が去った後Aの姿が見当たらない。
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作者名：愛琉 | 作成日時：2020年2月14日 21時
