空回り ページ30
「俺も浴衣着て風呂行くー」
「うん、待ってるね」
シルクが脱いだワイシャツとスーツをハンガーに掛けてクローゼットに入れた。
「A浴衣着ないの？」
「お風呂入ってから着る･････シルク似合うね！スーツもいいけど浴衣もいいね」
「俺はAの浴衣姿･････見たい。今着てよ？」
「却下！早くお風呂行こう？ね？」
「えぇー！却下？即答やん！」
「だって･････早くお風呂行きたいもん！」
「じゃ、早く入って浴衣着て！」
大浴場の場所まで案内看板を見ながら二人で歩く。
すると赤いのれんと青いのれんの２つの入口発見。
「私、遅いから先に戻ってていいよ！」
「やだ、待ってる･････」
「疲れてるでしょ？お部屋に戻ってお昼寝してて？ね？」
「ん･････わかった」
あれ･････ちょっと拗ねた？
言葉の微妙なニュアンスだけど･････何となく感じた。
なんか･････やだ･････
モヤモヤした気持ちは説明し難く
ただとりあえずは汗流して、ザクッと頭と身体を洗って超特急で上がって着替えて髪の毛はタオルドライでいい。
私の頭の中は運動会の定番曲、クシコスポストが流れていた。
また後でゆっくり入ればいいからとりあえず急げー！
「熱い･････」
湯船は身体が冷えてるせいでお湯が噛み付いてくる感じがして長湯は出来ないししていられないので早急に離脱。
頭洗って身体洗って･････
「もう出よう！」
着替え･････浴衣の着付けどうなの？
向かいにいたおばちゃんの衿元を確認･････
なるほどねー急がなきゃ！
浴衣を着て前髪だけでもドライヤーしようと鏡に向かう。
「風弱すぎて、乾かないよ？あぁ！もぅ！」
風は弱いのに音はうるさい。どーなってるの？
諦めて濡れた髪をクルクルとお団子にしてのれんをくぐった。
「いない･････もう戻ったかな」
シルクはいなかった。
頑張って急いだけど先に戻ったかな･････
なんか･････空回りしてるよね
でも戻ってどんな顔したらいいの？
とぼとぼと歩いて部屋に向かう。
「あれ、Aちゃん！シルクと一緒に来たんだよね？早くない？」
「え･････うん」
モトキくんが浴衣姿で後ろから声を掛けてきた。
「シルク、まだ入ってるよ？」
「あ･････ホント？」
「ケンカでもした？」
「ううん。してないよ･････ただね」
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作者名：愛琉 | 作成日時：2020年2月14日 21時
