注射 ページ3
「え、ちょっと待って。今日の夜シルクのお兄ちゃん来るんだよね？何時に来るの？」
「時間までは聞いとらんわ。心配しなくてもAはいるだけで大丈夫！」
どうしよう･････と不安そうに俺を見た。
「シルク･････」
「何？そんなに大したことないだろ？」
「え･････？飛行機の手配とか･････」
「え？そっちかよ！もう手配済だよ？」
兄貴が来ることに不安を募らせたかと思ったのに飛行機の方かよ！ホント笑かしてくれるわ！
飛行機は行けるメンバーの分も合わせて撮影の合間に手配済。
「本当？良かったー。苦手なんだよね。そういう手続き。病院着いたー！」
電車に乗ってやって来た訳だけど
方向音痴な俺としては一人じゃ帰れんな。
「受付してくるから座っててね」
「オッケー！」
病院のロビーはたくさんの人でいっぱいだった。こんな所で大騒ぎされんのも困るのでマスクは必須アイテムだ。
パソコンを取り出して編集しようとすると
「パソコン持ってきたの？」
「ん、時間掛かんだろ？」
「え？･････多分掛からないかな」
そんなやり取りをしていると看護師さんに
「柊さーん！柊 Aさん、処置室どーぞ」
と呼ばれ、はーいと返事をしてパタパタと急ぎ足。
せっかちだなぁ･････
まるで小動物みたいだ。
診察室と書かれたドアの横に処置室があり、Aは中へ入っていった。
さてと編集しますか･････
時間掛からないなんて言ってたけど。
北海道のAの家族に何持っていこうか？
頭の中ではあれこれ情報整理をしながら
編集をしていると･････
「終わったよー」
「早っ！痛かった？」
「全然！注射大好き！」
「はぁ？注射大好きとか珍しいな」
「だって血管に針刺してどす黒い赤い鉄剤が入っていく所が感動する！」
ちょっとだけ猟奇的な感覚をお持ちの俺の彼女はそう言いながらもやっぱ可愛い。
そんな俺は重症患者だろ？
Aに夢中すぎて感覚おかしくなっとる。
ちょっとだけ･････もどかしかったりもした。
注射怖いから手を握ってて？･････とか
痛かったよー！･････って抱きついてくるとか
Aという可愛い存在から甘い甘い妄想を雑誌の立読み中に膨らませた事は秘密にしておこうか。
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作者名：愛琉 | 作成日時：2020年2月14日 21時
