麻貴ちゃんだから、 (ページ25)

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長濱さんは最終審査を受けとらんから、けやき坂46として活動することになった。

でも、私やって受けとらん審査がある。

せやけど、私は欅坂46で長濱さんはけやき坂46。

なんでやねん。

収録が終わってメンバーと楽屋に戻る。

廊下でも楽屋でも話題は長濱さんのことで持ち切り。

そのほとんどが現実を受け入れられへんメンバーの、厳しい意見。

ここに私の居場所は無い気がした。

＿＿＿＿＿＿＿＿

人気(ひとけ)のない自販機の陰に座って考える。

どうしよう。

どうしたら私は認めてもらえるやろか。

このまま欅坂46(ここ)に居(お)ったらあかん。

最終審査を受けとらん長濱さんがあんな目を向けられてて、その横で私だけのうのうと活動するなんて...

｢Aちゃん？｣

名前を呼ばれて顔をあげると、そこに居たのはまさかの長濱さん。

長濱｢大丈夫？...って、私のせいか、｣

倉咲｢ち、ちが...っ、違う。
長濱さんのせいじゃない、私が悪いねん...っ｣

突然泣き出した私を見て、長濱さんはきょとんとしとった。

倉咲｢ごめん、なさいっ...わたし、長濱さんと一緒やのに...っ、自分だけ、自分だけアイドル、やってて、...やから、長濱さんは...なにも、悪くなくて、...ごめんなさいっ...｣

それでも、落ち着くまでずっと横で話を聞いてくれた。

倉咲｢...私、書類審査受けてなくて...っ、2次審査の、オーディションの日に、会場の近くに居たら、なりゆきでっ、その、スカウトみたいなの、されて、っやから、そこから、オーディション参加しとって、長濱さんと、一緒、やねん...やのに、私だけ普通に活動させてもらっとるんは、違うと思うねん、長濱さんの方が可愛いし、私みたいな作った笑顔とは違うし、.....｣

それ以上は自分が惨めになるだけに思えて何も言えんかった。

長濱｢スカウトってすごか...
ねるとは全然違うと。Aちゃんほんなこつ、すごすぎるばい｣

倉咲｢でも私、みんなと中々話せないし、合宿も途中までしか出来んかってん。
なんならまだ3ヶ月やのに辞めたい、って気持ちもあるくらいで...｣

長濱｢合宿ん回観たばい。
こがん小さか子が頑張っとーとすごかねって思うた。
アイドル向いてのうなんか無か。
気付いたらAちゃんことばり応援しとったけん。｣

長濱さんが今までとは打って変わった強い口調でまくし立てる。

その聞いたことも無い長崎の方言？を聞いとったらちょっと笑ってもうた。