くちづけ四十と一つ ページ46
貴「ねぇ、太宰さん───」
空っぽだった私が
貴方と出会って
怒ってくれる人が──
《安吾、森さん》
心配してくれる人が──
《広津さん、梶井さん、織田作》
泣いてくれる人が──
《姐さん、エリス嬢》
敵意を燃やしてくれる人が──《芥川君》
好きになってくれた人が──《中也》
出来た
そして
好きな人も──
《太宰さん》
出来た
そうやって
笑うことも
怒ることも
楽しむことも
苦しむことも
泣くことも
覚えて
今
"死にたくない"って思いながら、死ねることが
貴「幸せだなぁって……思うんです」
嗚呼…本当
私には、勿体無いくらい
貴「私は、太宰さんのものです。太宰さんの手で……」
───殺して？
残酷な願いだと、分かっている
でも、最期くらい許して
私の命は貴方が終わらせて
そうすれば、私は──
───君の命は、私のものだ。勝手に死ぬことは、許さない
貴方との約束を、破らなくてすむ
貴「愛してます、太宰さん」
微笑めば、ひゅっと息を呑む太宰さん
其のまま、泣きそうな顔をしながら
私に、くちづけた………
いつのまにか日が落ちて月明かりが入り込んでいた倉庫に
異能力特有の光が美しく輝く
身体から力が抜ける
血が溢れ出ていくのが分かった
霞んできた此の眼に映る
雪の様に舞い落ちる異能力の光
(なんて、綺麗…………)
唯一つ、哀しみなのか嬉しさなのか寂しさなのか分からない涙が、頬を伝った
(最期まで、返事をしてくれないなんて……貴方らしいですね。太宰さん)
黙って私にくちづける太宰さんの頬に添えていた手が、するりと地面に落ちた
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澪(プロフ) - わぁ、前に読ませて頂いて(泣いた)忘れられなかった作品にまた出会えました！！この作品大好きです。 (2020年3月11日 6時) (
レス) id: 001cac99b9 (このIDを非表示/違反報告)
KAZUKI(プロフ) - 電車で読んじゃいけないやつだった（泣） (2018年12月16日 13時) (レス) id: ccd6d3c3c5 (このIDを非表示/違反報告)
きー - 感動しました。もうボロ泣きです。ありがとうございます！ (2017年12月13日 0時) (レス) id: ea7bbfad76 (このIDを非表示/違反報告)
Asora(プロフ) - もう大号泣です。うわああああ(´；ω；｀) 昔にも見たんですけど、やっぱりこの小説大好きです。他の作品も頑張って下さい。 (2017年7月28日 22時) (レス) id: 32969ac174 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月華(プロフ) - 祀さん» 有難う御座います。こんなに感想を頂けれるなんて……!!!凄く嬉しいです。どんどん泣いてください。其れほどに入り込んで頂けれるなんてとても光栄です。有難う御座います。 (2017年5月6日 19時) (レス) id: 70f2eb3a84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼月華 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/01g/
作成日時：2017年1月1日 22時
