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くちづけ二十と五つ ページ29

貴「さて」


呆気なく終わってしまった勝負に、芥川が唇を噛み締めるのを横目に、今度こそ携帯を拾った
馴れた仕草で釦を押す
三コールと待たずに、柄の悪そうな声がした


中『んだよ』

貴「ねぇ中也、拷問室の空きはある?」

中『はぁ?拷問室ゥ?』

貴「そう。ちょっと、ね?」

中『手前ェのちょっと、は殆ど厄介事じゃねぇか』

貴「あら、酷い」

中『ったく………空いてるとこもあるぜ』

貴「良かった。有難う。一人、持ち帰るから」


其処まで言って電話を切る
目の前の死体の山に溜め息をついた


貴「ほら、芥川。本来の仕事を忘れないで」


そう、私たちは『後始末』に来たのだから
黒のビニル袋を手渡して、芥川の肩を叩いた



――――――――――――――――――


暫く無言のまま、ビニル袋のガサゴソという音が響いていた
時折身体を起こして、腰を伸ばす
コキッと良い音がした


貴「ふぅ、疲れた。そろそろ終わりそうね」

芥「嗚呼」

貴「全く……彼奴等遅いわね。二人だけで終わっちゃうじゃない」


その時、外から足音が近づいてきた
噂をすればなんとやら
私達の部下である黒服達がやっとやって来たのだ


部「遅れて申し訳ありません、Aさん」

貴「本当よ。後は宜しく」

部「はっ」


辺りに視線を滑らした部下の顔が、ある一点を見た途端に引き攣った
其処には、無残な程にぐちゃぐちゃの死体
芥川も視線を逸らしてたわね


貴「嗚呼、あれは気にしないで。あれは持って帰るヤツだから」

部「持って帰る……?」

貴「蘇生の異能力者よ」


そう……
余りにも部下たちが遅いから、また殺っちゃったのよ
暴れられるのも面倒臭いし


貴「あなた達のせいで、後一回しか蘇生しないじゃない」

部「そ、そんな」

貴「嘘嘘、責めてるんじゃないのよ。まあ、とりあえず私は戻るわ」


そう言って私は男を引きずりながら、本部へと戻った
嗚呼、芥川?
一緒に戻ったよ
女の子に荷物持たせる気?って言ってね












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(プロフ) - わぁ、前に読ませて頂いて(泣いた)忘れられなかった作品にまた出会えました!!この作品大好きです。 (2020年3月11日 6時) (レス) id: 001cac99b9 (このIDを非表示/違反報告)
KAZUKI(プロフ) - 電車で読んじゃいけないやつだった(泣) (2018年12月16日 13時) (レス) id: ccd6d3c3c5 (このIDを非表示/違反報告)
きー - 感動しました。もうボロ泣きです。ありがとうございます! (2017年12月13日 0時) (レス) id: ea7bbfad76 (このIDを非表示/違反報告)
Asora(プロフ) - もう大号泣です。うわああああ(´;ω;`) 昔にも見たんですけど、やっぱりこの小説大好きです。他の作品も頑張って下さい。 (2017年7月28日 22時) (レス) id: 32969ac174 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月華(プロフ) - 祀さん» 有難う御座います。こんなに感想を頂けれるなんて……!!!凄く嬉しいです。どんどん泣いてください。其れほどに入り込んで頂けれるなんてとても光栄です。有難う御座います。 (2017年5月6日 19時) (レス) id: 70f2eb3a84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼月華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/01g/  
作成日時:2017年1月1日 22時

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