清水潔子にぶたれない (ページ6)

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涙ページ6

本当の気持ちを言うことができるのはなんて気持ちの良いことなんだろう。

遠慮することなんて考えなくていい、いつも気を使わなくていい、
それになんといっても、自分の考えを言っても嫌がる人なんていない、ということ。

もし嫌がる人がいたとしても、潔子は絶対に嫌がらず向き合ってくれることに気づけた。

今頃気づいても遅いだけだと思っていた。

でも、そんなことなかった。

今気づけて本当に良かった。

私は人を信じることが怖かった。
一緒にマネージャーをやってきた潔子のことでさえ、信じれなかった。

だけど、相手はそう思ってなかった。
こんな私を信じて待ってくれていたのだ。

そう考えるだけで涙が止まらない。

私には泣く資格がないと思ってた。それに泣く権利もないと思ってた。
でも違うと教えてくれた。

潔子は本当に私の驚くことばかりしてくる。

あんなに感情を剥き出しにして伝えようとしてくる潔子を初めて見た。

不良で悪魔って呼ばれてるぐらいだから、私をぶつ人なんていなかった。
でも、潔子はそんなことお構いなしに私をぶった。
だから余計に驚いたのかも知れない。

そういう風に私に心から向かい合ってくれるのが本当に嬉しかった。

今まで心から向かい合ったのは小夜とノヤぐらいだった。
でも途中でノヤとの関係は崩れてしまったけど。

「心から向かい合うことがこんなに難しいなんて思ってなかった。」

潔子が貸してくれたハンカチで涙を拭う。

「今頃遅いって思ってた。でも、そんなことないって教えてくれてありがとう。
潔子は私の救世主だよ」

自然と口角が上がるとともに、先ほど拭ったはずの涙がまたこみ上げてくる。

本当に私は弱い。
強いってのは肩書きだけ。力が強いってだけ。
実際の私はこんなにも弱い。臆病で小心者。

でも、弱くたっていい。
常に強くある必要なんてない。
自分の弱音を吐ける相手がいるのはどんなに素敵なことか。

そのことを教えてくれたのも潔子だ。
私は沢山のことを潔子に教えてもらった。

自分の本当の気持ちに向かい合わせてくれたのも潔子だ。

このことを話していなかったら、バレーをしたいという本当の自分の気持ちを多分一生、見て見ぬふりしていた。

感謝してもしきれない、と思った。

「潔子、本当にありがとう」

大粒の涙を流して話せば

潔子「私こそ、ありがとうA」

潔子も大粒の涙を流して笑った。

その笑顔には沢山の思いが詰め込まれている、私はそう思った。